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〜看る魔人〜 09

 それに…意識がまともでない者の『大切な部位』を奪ったとて、興がなさすぎてつまらんだけだ。
 …他のところはどうだか知らないが。


 そう、おのれに言い聞かせる滑稽さを無視しながら、我が輩はヤコを横たえ、再びその肌に唇を寄せた。


 唇のきわを、顎を、目に見える肌の、あらゆるところを……

 ヤコは瞳を緩く閉じ、弱々しくも首に腕を回し、我が輩の行為を緩やかに受け入れる…



 不思議なことに……


 我が輩の体温が、まるでヤコの高い熱を吸い取っているかの如く、上がってゆくのが、自分でわかる。

 肌に触れる唇から脳髄へ、脳髄から全身へ、痺れるような感覚がじわじわと広がる。
 それに留まらず、ヤコの滑らかな感触と熱さを…なお、欲してやまず……










 これは……









 ……ヤコは……





 我が輩がこれまで認識していたよりも、遥かに厄介な存在であったことを、思い知らされるしかなく………






 我が輩が…あの月夜にヤコを熱いと感じたのは……






 ……そこに在るヤコを、直に感じてしまったからなのだ……






 このままでは、いけない……


 おのれのことばを、自ずから反故にするなぞ、愚かさの極みではないか……


 今ならばまだ、欲をもぎ離し冷静さを引き戻せるのだから……







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あきゅろす。
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