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〜看る魔人〜 08
「…気持ちいい…?」
…そのようなものなのであろうか…
「うん…気持ちいい…」
常ならばヤコは…そのようなことばなぞ、決して口にしないであろう。
成り行き…
そして我が輩なりの看護の一貫…とはいえ、我が輩のしていることは、肌への口付け。有り体にいえば、愛撫でしかない。
平素ならばこの単細胞が、
『セクハラだ!!』
…とでも叫ぶ行為でしか、なかろう。
だがこの女は今…この行為をすんなり受け入れ、その上、
『気持ちいい…』
…と囁くのだ……
「…それは何よりです…」
我が輩も、囁く。
…それならばそれで良い。
我が輩にとっても、この一連の行為は悪くないのだから。
だが……
このような様子の『らしくない』ヤコだけは、かなわん。
どんな手法でも構わぬから、殺しても死なぬような、いつものふてぶてしいヤコに戻ってもらわねば……
……ふと、水気を失った唇に視線がいく。
ここまでしてしまうのなら、そこに触れても同じことのような気がされた。
…が…以前アカネが、それは特別なことだ…と云っていたような覚えがある。
また、戯れに目を通した雑誌等文献のどれにも、それは別格のように描写されていたような記憶が、ある…
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