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〜思わぬ展開〜 01
「…貴様のどこに、そこまでの浅ましい食欲がひそんでいるものなのか、さっぱり判らん」
魔人は心底呆れたように言い放つ。
しかし、弥子の尋常ならぬ食欲はいつものこと。
「あんただってそうでしょ。
お互い様じゃん」
弥子はケーキを貪りながら、声の主の方に振り向き、言う。
そういう魔人は、『謎』のみを食し、その上以前居た世界の『謎』を喰い尽くしたらしい。
貪欲さは、あるいは弥子を遥かに凌駕する。
―あれやこれや言われる筋合いないと思うんですけど―
魔人は弥子の言葉に、不思議と納得する。
―『喰う』対象が違うだけで、お互い変わらん…ということか…―
唐突にネウロは、
「貴様は…喰らえば美味いのであろうか…」
思い付きに任せ、呟いた。
「…は…?」
「…という訳だ。ヤコ、貴様を喰わせろ」
「はぁ!?」
それは魔人特有の気紛れであろうが…勿論弥子にはそれと察する余裕はない。
「ななな…」
先日のおかしなやりとりを思い出してしまい上手く言葉を紡げない弥子の様子は、魔人の瞳に極めて面白く映るのだ。
「あ…あんた…言ってる意味わかってんの…?」
「…我が輩を誰だと思っているのだ」
「はぁ……」
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