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くちびる(翡翠×鈴)

とんとん、と軽くガラスを叩く音。

ベッドに腰掛けた翡翠が振り向けば、窓の外でひらひらと手を振る鈴の姿。


「…鈴」
「えへへ、こんばんはー」


無邪気に笑った鈴が観音開きの窓を外側から開くと、冷たい夜風が部屋に吹き込む。

翡翠が小さく眉を寄せる間に、鈴はお決まりの浮遊魔法で纏わせた風を操り、ひょいと寝室のカーペットの上に着地した。

元通りに窓を閉める鈴の背を、翡翠は毛布で包み込んでやる。


「…鈴、遊びに来るなら玄関から入ってくるようにと、いつも言っているだろう?」
「…えへへ」
「まったく、夜は寒いんだから、風邪を引くぞ」


言いながら温かい毛布ごと鈴の小さな躰を抱き締める翡翠に、鈴ははにかむように薔薇色の唇を綻ばせて笑った。

…そんな事を言いながらも、彼は寝室の窓の鍵を毎回開けておいてくれるのだ。

鈴が、いつでも遊びに来られるように。

なんだかんだ鈴には甘い翡翠に、くすぐったいような愛しさが込み上げて堪らない。

後ろから抱き込む翡翠の胸に、甘えるようにぐりぐりと後頭部を擦り付けると、彼は心得たようにそっと鈴の躰を抱き上げて再びベッドの上へと座った。

彼の腰が柔らかなマットレスに沈むと、鈴は抱き締められたままもそもそと体勢を変えて翡翠と向き合う。


「どうした?」
「むー…」


黒曜の瞳を細め、此方を見下ろす翡翠は、もう鈴の意図など察しているのだろうに。

わざと惚けてみせる翡翠に拗ねたように唇を尖らせ、鈴は彼の首の裏に腕を回す。


「翡翠…」


甘えた声で囁く飴色の瞳が湛える色は、いつもの無邪気さからは想像も出来ないほど艶やかで。

クスッと軽く喉を鳴らした翡翠は、誘われるように顔を近付ける。

さらりと前髪が触れ合う感触に、鈴はうっとりと瞼を閉じた。


「…んっ…」


ちゅ、ちゅ、と可愛らしいリップノイズをたて、幾度か角度を変えながらの戯れのような小鳥の啄み。

唇を食まれるくすぐったさに身を捩ると、背中に回された腕に力が籠もる。

触れるだけの優しい口付けの合間、鈴は囁くように呟いた。


「…大好き」


薄く瞼を開くと、此方を見下ろして微笑む黒曜の瞳と視線がかち合う。


「…あぁ、愛してる、鈴」



くちびるにキス















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三周年企画、翡翠×鈴編。「とにかく甘く、一番甘く!」が彼らのコンセプト(笑) ばかっぷる上等ww

一応合鍵は交換していますが、鈴が玄関を使わないのは最早デフォルトw 合鍵意味ない(笑)


10/12/26

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あきゅろす。
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