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かみのけ(高雅×都)

ぱらり、静かな部屋に、ページを捲る微かな音。

人と関わる事の少ない都が普段何をしているかと言えば、大概小難しい勉強をしているか、本を読んでいるかだ。

高雅の部屋のソファーで真剣な瞳で文字を追う都を、高雅は頬杖をかきながら有り得ない思いで見つめる。


(…ドイツ語の原書って……、そりゃねえだろ)


高雅は先ほど彼の手元を覗き込んで、思わずギョッとした。

上から下まで、難解な単語がびっしり。兄に借りた心理学書籍だと言っていたが、普通高校生が表情も変えずにそれを読むだろうか。

高雅だって、何も顔だけの俺様会長ではない。これでも成績は学年上位はキープしているし、英語ならば一応自信もある。しかし流石にドイツ語の専門書を原書で、しかも辞書無しですらすらと読むのは無理だ。


(この間は、シェークスピアの原書を読んでたよな…)


古典英語は、例えネイティヴであったとしても難しいのに。

一体都は何ヶ国語を網羅しているのか。…確か彼は理系クラスであった筈だが。

やはり、都はよく分からない。…まぁ、そこが面白くもあるのだが。


(…しかし、この状況は暇だよな…)


都が本に集中しだして、既に小一時間程経っているだろうか。

ページへ落とす伏し目の表情を眺めているのにも、いい加減飽きてきた。

…もっと、別の表情が見たい。


「都」
「……、何だ?」


高雅が名前を呼べば、都はページから視線を上げて此方を見上げる。

たったこれだけの事が、他の人間では成り立たない事を知っている高雅はゆるりと唇吊り上げ、片手を上げて彼を此方へ呼ぶ。

手招き一つで本を持ったまま高雅の膝上にやってきた都の躰を、包み込むように腕を回した。


「?」


少し襟足の長い、艶やかな髪を撫でてやれば、都は不思議そうに首を傾げる。


「高雅?」
「…いつまでも、俺様を放っとくんじゃねえよ」
「…?」


不満げな言葉とは裏腹に、愉しげに口の端を上げる高雅に、都はぱちりと瞳を瞬かせる。

それでも真っ直ぐに自分を見上げる都の、艶やかなその髪に高雅は唇を寄せた。


「…高雅?」


ぱちぱち、長い睫毛が黒曜の煌めきの上でまた上下。


「…本じゃなくて、俺様だけ見てろよ、都」



かみのけにキス















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三周年企画、高雅×都編。ちょうど本編でがっつりえろを書いてるところなので、こっちでは軽めにw

都はバイリンガルらしい。今決まりました ← 理系の筈なのにねぇ…(笑)


10/12/24

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