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つまさき(孝雪×御門)

「…? 何だこれ」


恋人に続いて彼の部屋に入った御門は、玄関先にある物を見てそう呟いた。

寮の10階──ミスリルクラス専用の特別階の部屋は、その一つ一つが普通の部屋よりもかなり広い。

それはドアを開けてすぐの玄関スペースにも言える事で、一体何人客が来れるんだとツッコミたくなる程空間が空いている。

そしてそんな場所に鎮座している、この前来た時には無かった物。


「…椅子?」


まぁ、広いから邪魔にはならないのだろうが。靴べらでも使う時に座る用なのだろうか?

案外すっきりと片付いたその空間で、妙に目立つそれを見ていれば、振り返った孝雪が気付いたように笑う。


「あぁ、そうだった。それ、御門用だから座って」
「は?」


わざわざ人を部屋に招いておいて、玄関口に専用席を用意するとはどんな嫌がらせだろう。部屋の奥にはソファーもあるのに。

性格が悪いのは知っているが、此処まで礼儀の無い人間だっただろうか? 半眼になって孝雪を見やる。


「ほらほら」
「…って、おい」


呆れ半分に彼を見ていれば、さっと背中に腕を回され、椅子の上に腰を下ろさせられてしまう。

相変わらず、大して体格も違わない筈なのに異様に力が強い。

強引に椅子に座らせられた御門は、スリーズの唇に笑みを浮かばせた孝雪を胡乱げに見上げたが、次の瞬間の彼の行動に目を丸くした。


「は…?」


孝雪は、玄関口に、椅子に座った御門の足元に膝を付いた。

跪いた姿勢のまま、靴を履いたままの御門の足を取る。丁寧に右足の靴を抜き、次は左の靴。

靴を脱がされた御門は、瞳を見張ったまま、未だ御門の左足を持ち上げた孝雪を見る。


「え…、何?」
「ん? 見て分からない?」
「え、いや分かるけど……、俺を座らせたのって、わざわざこれをやる為か?」
「そうだけど?」


それが何? とでも言うように、跪いたまま優雅に笑う孝雪。

そんな姿すら絵になる彼は、相変わらず卑怯だと思う。


「…アンタやっぱり頭おかしいよ」
「おかしくなんてないでしょ? 王子様がお姫様の靴を脱がせてあげるくらい」
「そういう事真顔で言う時点で頭おかしいんだよ。…大体、誰が姫だ」


むっつりと不機嫌に言ってみせるが、頬に熱が上がっているのはおそらく彼にはバレているだろう。

クスクスと笑った孝雪は、持ち上げたままだった御門の左足から靴下を抜き、露わになったその爪先に唇を落とした。


「…勿論、御門に決まってる。僕の、お姫様」
「ッ! …バッカ」


爪先に舌を這わせる絵面など見ていられず、御門は顔を真っ赤に染めながらそう悪態をついた。



つまさきにキス















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三周年記念、孝雪×御門編。跪いて爪先にキスの王子様(笑) …孝雪も大概頭の沸いてる男ですよね ←

ちなみに跪いて靴を脱がせるのは、勿論履かせるのとワンセットw 帰る時にもまた同じやり取りが繰り返されるよ!ww


10/12/13

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あきゅろす。
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