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めじり(月代×雪羽)

「…雪羽」
「何? …わっ」


名前を呼ぶ声に振り向いてみれば、相手は思いの外近くに居て。

すぐ背後に立っていた月代に目を見張った間に、ひょいと腰に腕を回されて抱き上げられてしまう。


「ちょっ…、いきなり何!?」
「…いや」


首を振ったくせ、月代は雪羽を離そうとはしない。

横抱きにされた雪羽は、下手に抵抗して床に落ちるのも嫌なので暴れはしないが、じろりとその玻璃の瞳を半眼にして月代を見上げる。


「…何でアンタ、そんな軽々俺を持ち上げるんだよ」


月代に抱き上げられた経験は、一度や二度ではない。

初対面の時もいきなり抱えられてベッドに運びこまれたし、事あるごとに、また特に何もなくとも月代は雪羽を軽く抱き上げる。

確かに身長差はあるが、月代は一見細身に見えるのに。…否、彼が案外男らしい躰付きをしているのは、一応身を以て知っているけれど。


「俺は仮にも平均的な男なんだけど。…重くねぇの?」
「お前は軽い。…まぁ、抱き心地は悪くないがな」
「…ばか」


含み笑う低い声が密着している躰に染み渡るように響き、雪羽は頬を赤らめながらそう呟きを漏らした。

男としての矜持を踏みにじられているもいいところなのに、満更でもないと思ってしまう自分の頭も大概どうかしている。

結局、惚れた弱みとでもいうものだろうか。

大人しくなった雪羽に、頭上の月代はクスリと笑い、雪羽を抱えたままソファーに腰を下ろした。

膝の上に乗せられると、自然に彼の夜色と見つめ合うように躰をずらす。


「…雪羽」
「ん…」


名前を呼ばれて、じっと彼の夜色を見つめて。

近付いてくる紅梅に、あ、と思うけれども怯まない。

ちゅ、と可愛らしい音をたてて、目尻に落とされる唇。まるで彼の玻璃を確かめるように触れる口付けに、雪羽は軽く目を細めた。


「…くすぐったい」
「そうか」


けれど、“愛されて”いる事を実感出来る、この瞬間が何よりも好き。なんて。

言葉の代わりに、雪羽もまた彼の夜色に唇を寄せた。



めじりにキス















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三周年企画、月代×雪羽編。めじりにキス、…明らかに二人の為のお題でしたね(笑)

月代は結構頻繁に雪羽を抱っこしてますね。…抱き上げると視線が近くなるから、なんだろうか? いやただ変態紳士なだけか?(爆)

ちなみに一応恋人設定です。実際、正式に恋人になってからも、さほど距離感の変わらない二人w


10/12/10

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