うなじ(龍治×唯人) ※ 龍治三年生、唯人二年生設定 カタカタとキーボードを操作する音が聞こえる。 図書委員会に所属する唯人は、毎週火曜日の放課後が委員会の会議で定められた図書館の貸し出し当番だ。 各クラスから二人選出される筈の図書委員だが、唯人の相方となる筈のもう一人の図書委員は基本的にいつも不在。…幽霊委員と言うか、正確には唯人に付き添う龍治を怖がって図書館に出て来ないのだが。 仕事をするのが一人でも、唯人は特に文句は言わずに淡々と仕事をこなす。そして、彼に付き添う龍治は時折活字に視線を落としながらも、その背中を見つめていた。 今も新書の打ち込み作業をする唯人の真っ直ぐに伸びた背を、龍治は戯れに開いた本のページに手をかけたまま眺めていたが、ふと音をたてずにその無防備な背に近付き、細い腰に腕を回した。 急に抱き締められた唯人は、びくりと肩を揺らす。 「…! …どうしました、龍治。退屈ですか?」 キーボードに掛けた手を止めた唯人は、振り向いて小さく笑う。 その頬を彼の躰に回した指でなぞり、龍治は首を振る。 「…別に邪魔をするつもりじゃない。気にしないで続けろ」 「…気にしないで、って…」 そんな事を言いながら、離れる気配のない彼に苦笑い。 しかしながら、こんな風に場所を選ばず唐突に龍治がスキンシップを取ってくるのはいつもの事なので、唯人は肩をすくめて作業を再開した。 手元の資料と見比べながら、カタカタとキーボードを打つ。 その背中に密着しながら、龍治はじっと唯人の姿を見下ろす。 染めた事など一度もない、傷みのない艶やかな漆黒の髪。癖のないその毛先を指先で掬い上げれば、敏感な項を掠めたか唯人が背を震わせた。 「…龍治」 「…ん」 咎めるような声を、小さく呻り受け流す。唯人が呆れたような息を漏らしたが、離れるようにとは言われない。 さらりと指先で毛先を弄び、その白い項を見下ろした。 …首元と項に触れられる事に、唯人は弱い。 無防備に晒される其処に、悪戯心が芽生えるのも仕方ない話だ。 白い項を指先で確かめるようになぞり、身を屈めて其処に唇を落とす。 ちゅ、と響くリップノイズに、流石に唯人も振り返って龍治を見上げる。 「っ…! 龍治っ…!」 「ん」 身じろぎする唯人に、此方は角度を変えて。 二度、三度と落とされる唇に、唯人が頬を染めて告げる。 「もっ、邪魔はしないなんて、嘘じゃないですか…!」 「…あぁ」 怒ったように言いながらも本気では抵抗しない唯人に、龍治は小さく笑って、白い肌を吸い上げた。 うなじにキス -------------------- 三周年企画SS、龍治×唯人編でしたw 相変わらず自由な龍治(笑) 後ろから抱き締めてうなじちゅーって、可愛いですよねw 10/12/8 ≫ [戻る] |