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孝雪「っ、ちょっと…!?」
容赦なくビンタを決められ、流石の王子様も動揺しつつシンデレラを追いかけます。
御門「っ、着いて来んなこのヘンタイッ!!」
孝雪「やられっぱなしで僕が逃がすと思う!?」
ロマンもへったくれもない逃走劇やな!
ていうか、王子様の台詞が色々と怖いです。
御門「…あぁもう、コレ走りにくいんだよっ!!」
階段を駆け下りるシンデレラ、ヒールに焦れったくなったのかガラスの靴を自ら脱ぎ捨てます。
あぁ、ストーリーの進行上捨てるのは片っぽでええで! もう片っぽは自分で持って帰るんやで!!
御門「持って帰っても要らないし、邪魔なだけなんだけど……あぁもう仕方ないな!」
とりあえず片方の靴を階段の中腹に放り出し、もう片方の靴は一応片手で握り締めるシンデレラ。
…ていうか案外丈夫やな、ガラスの靴。流石魔法使い製(笑)
何とか王子様に追いつかれずに階段を下りきったシンデレラ、馬車の前で待機していた仔猫とハムスター(+α)に叫びます。
御門「明良っ、砂凪っ! 帰るぞ!!」
明良「ええっ!? まだ0時になってなくない!?」
御門「いいから帰るんだよっ! 早く馬車出せ、追いつかれるっ!!」
砂凪「あっ、あの話したい事があったんだけど……、…えと、とりあえず馬車出していいんだよね!?」
御門「ああ、早く!!」
急いたシンデレラの指示に、戸惑いながらも仔猫とハムスターは手綱を握りました。
少し遅れて階段を下りきった王子様が、馬車に乗り込むシンデレラに叫びます。
孝雪「あっ、ちょっと待ちなよ!!」
御門「待てるか!! 明良、砂凪、急げ!!」
明良「って、ガチ逃走なのこれっ!?」
仔猫のツッコミと共に、馬車が走り出します。
走り出してしまえば、こっちのもん。とりあえずは逃走成功です。
御門「…はー、とりあえず助かった…………って何かいつの間にか人数増えてねぇ!?」
深々とため息を吐いてやっと周りを見る余裕の出来たシンデレラは、何故か当たり前のように馬車に同乗している狼に気付いて叫びました。
手綱を仔猫に預けたハムスターが、少し困ったような顔をして馬車の中を振り向きます。
砂凪「あのね、その事なんだけどね……えっと…その…、」
明良「砂凪にうっかり婿が出来ちゃったらしいから〜」
御門「は?」
言いよどむハムスターに代わって、仔猫があっさりと言いました。
思わず点目になるシンデレラの正面で、恥ずかしそうに真っ赤になるハムスター。
砂凪「はわっ!! なっ、何でそんなあっさり言っちゃうの〜!?」
明良「だって砂凪が言うの待ってたら、0時になっちゃいそうだからさぁ」
他人事なら結構あっさりな仔猫です(笑)
桐琉「…砂凪が俺のところへ来れないなら、俺が砂凪のところへ行けばいい。そういう事だろう?」
御門「いやごめん、意味分かんない」
勝手にそう結論付けてしまったらしい狼。此方の事情とかはまるっと無視のようです。
シンデレラは思わずこめかみを抑えますが、このフリーダムを止めるのは多分無理でしょう。
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