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Dolce 3 ※

「ん……ぅ」
「……は」


一頻り深くを味わって一度唇を離せば、すっかりとろんと溶けた玻璃の瞳と至近距離で視線がかち合う。

澄んだその硝子玉の瞳を覗き込むと、躾の行き届いた雪羽は素直に月代の瞳を見つめ返してくる。

何とも可愛らしい相手の躰を抱き寄せ、シャツの裾から差し入れた手を伸ばして背と腰骨を軽く弄った。


「んぅ…っ」


もぞもぞと腕の中で身を捩る雪羽は、くすぐったいのか感じているのか。どちらにせよ、相変わらず敏感な躰だ。

戯れのような口付けと深く貪るような口付けを気まぐれに繰り返しながら、月代はゆっくりと焦らすように雪羽の躰を解いて行く。

背や腰元ばかりを攻める月代に、雪羽がもどかしげに躰を揺らした。


「んっ……月代」
「…ん?」
「…、ど…して、背中ばっかり……」
「此方ではよくないか?」


言いながら指先で腰の輪郭をなぞると、腕の中の躰がぴくりと震える。


「んっ…、よくなくは……ないけど」
「けど?」
「足りない…っ! …もっ…分かってて言わせてるだろっ!」


そろそろ短い付き合いではなくなってきたからか、流石に月代の思惑は読めるようになってきたらしい。

それを分かっていて月代の望む言葉を恥じらいながらも口にする雪羽は、何とも愛らしくいじらしい。


「ふっ…、仕方ないな」
「どっちが……」


うっすらと水気を湛えた玻璃が恨めしげな視線を向け、月代はクスと笑みを漏らしながらその目尻に軽い口付けを落とす。

シャツの裾を捲り上げると、白い肌が露わになる。…月代だけが暴く事を許された其処には、以前の行為で咲かせた紅い花が濃淡のバリエーションを揃えて鮮やかに散っていた。

白さを保った胸元の上、また新たな紅を散らすと雪羽が短く声をあげる。


「あっ…」
「…、鼓動が早いな」


トクトクと早鐘を打つ左胸の上、唇を寄せてからかうように囁く。

身をかがめて自分より幾分小さな雪羽の胸元に顔を寄せた月代の頭を、雪羽はゆっくりと腕を回して抱き締めた。

さらりと流れるダークグレーに僅かにくすぐったげにしながらも、雪羽は小さく言う。


「…これで、心臓が落ち着いてる方がおかしいだろ」
「…そうだな」


そういう月代自身も、興奮しているという自覚はあった。

…こんなにも愛しくて愛らしい相手に触れているのだ、感情を煽られない筈がない。

唇で触れた肌の上、ぷくりと赤く熟れた小さな実を甘く囓ると、また耳元で可愛い鼓動が跳ねた。


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