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人魚の歌
14
何故こんな話をしたかというと。
まさに今、そんな状況なのだ。

初めて生きた人間が沈んできたことと、初めて…人魚と人間が結ばれた例。

セルが家を出て、アルの家に向かっている途中、上から人間が沈んできた。
見た目からしてまだ死んでいないことがわかり、俺はどうしていいかわからず、その人間を見つめた。

こんなことなかったし、生きてる人間がこんな場所まで沈んでくることがあるなんて俺もびっくりだ。

「あ、セル!!どうした―――、人間…?」

「ごめん、アル。…なんか上から沈んできた」

「…生きてる?」

「うーん…多分」

どうすべきか、2人で悩む。
女王カトリーナがいたからその人間は助かったのであって、俺たちにはそんな力は備わっていない。

「……………魔女、そうだ、魔女のところにいこう」

「え、魔女?…確かに、それはいいな」

思いついたようにアルが言った言葉に、俺も賛成した。
魔女は王族と血縁関係がある。
魔女も、もともとは王族。
つまり、女王のような力が使える。


俺はその人間を抱え、アルの後について魔女のもとへ向かった。

こんな海深くまで沈んできたのに、まだ生きているんだ。
せっかくまだ息があるし……助かってくれるといいけど。

俺はそんな思いで懸命に泳いだ。




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