人魚の歌 17 〈レオナルドside〉 ルノーが人魚を捕まえたが、逃げられてしまったらしい。 しかもルノーは、その人魚はセルだったと言う。 俺は憂さ晴らしに行き着けの店に行った。 中に入ると、金髪の美女。 リア曰わく、新人らしい。 なんとなく気になって、俺は話をした。 彼女は喋れないらしく、筆談だった。 儚げに笑った彼女の顔が、何故かセルに被った。 今更俺のところに戻ってくる訳でもないのに…。 パタパタとリアの下に行くナディアを見ながら、自嘲した。 こんなにあっさり逃げられるくらいなら、しっかりと捕まえておけば良かった。 人魚だと言うことをすっかり忘れていたあの頃の自分に腹が立つ。 俺はグラスに入っている酒を一気に流し込んだ。 ふと、ナディアの行った方を見た。 何か光るものが………瓶か? 俺はその瓶を拾った。 その中には、薄ピンクの粉が入っていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |