人魚の歌 04 頬を刺激する鋭い痛みに意識が浮上する。 「……か!?大丈夫ですか!?」 俺がゆっくりと目を開けると、安心したのか、相手が微笑んだ。 「だ…ゴホッ、ゴホッ……」 大丈夫と言おうとしたが、海水が入り込み、言葉にならない。 「季節が季節ですし…俺の家が近くにあるんで、休んでいって下さい」 その俺はビルと名乗り、俺を家まで連れていってくれた。 「ただいまー」 「お帰りなさ……ってどうしたの!?」 出迎えにきた女が驚いて目を見開いた。 「あぁ、そこの浜辺に打ち上げられてたんだ。だから連れてきた」 「そうなの……ダリア!!タオルを持ってきてちょうだい!!」 女が奥に向かって叫んだ。 すると、ダリアと思われる子供がタオルを抱えて走ってきた。 「使って下さいな。さ、こんなところじゃ何ですから、上がって下さい」 女は人懐っこい笑みでそう言った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |