人魚の歌
02
皇帝はいつも色々なことを教えてくれる。
国のこと、世界のこと、勿論………好きな人のことまで。
昨日も嬉しそうにその人のことを話していた。
好きな人がいるのに何故俺を城に住まわせているのか。
ドアが開かれる音がして顔を上げると、藍色の髪を垂らしたままの皇帝。
「まだ起きてたのか?」
「…はい」
「そうか。俺も寝るからお前も寝ろ」
俺が返事をする前に皇帝に抱きかかえられた。
ふわっと、皇帝の香りとは違う香りが混ざる。
……後宮に行ってきたんだ。
俺は男。
皇帝も男。
メロアじゃ同性愛も普通だったから気にしてなかった。
しかし人間の国とメロアは違う。
人間の国で同性と付き合うということは、世間から白い目で見られるということ。
その事実に、俺は声を押し殺して、泣いた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!