人魚の歌
11
俺は必死に涙をこらえ、城の中へ入っていく皇帝について行った。
応接間のような場所に連れてこられた。
暫くすると、ギィィとドアが開かれる重苦しい音がし、俺はそれに導かれるようにドアを見た。
「っ!!アシュリー!!」
そこには華やかな衣服に身を包んだアシュリーが立っていた。
「セル!!」
涙を流しながら駆け寄ってくるアシュリーを受け止めた。
「アシュリー、ごめん。俺はここに残るから」
「え……」
アシュリーの目が見開かれた。
「アルがあの場所で待ってるはずだから、早く帰れ」
「嫌よ!!セルが向こうに戻らないなら……」
「ここに残るのは俺だけで十分だ」
アシュリーの言葉を遮って言うと、アシュリーは押し黙った。
ポケットから今日買ったペンダントをアシュリーの手に握らせた。
「これを母さんに渡してくれ」
アシュリーを慰めながら早く行けと促すと、アシュリーは目からたくさんの涙を流しながら去って行った。
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