NOVEL
君に至るまでのabc(鬼→円)
絶対だと、信じていた。
周囲からどんなに冷たい眼差しで見られていようと、自分たちこそが正義だと。
だけど、君に出会ってその自信が揺らぐ。
なぁ、俺のサッカーは……
【君に至るまでのabc】
「円堂守……」
自室のソファに腰掛けて、何もない空中に視線を這わせながら考えるのは数日前の試合のことだった。
ここ数日、幾度となく記憶を再生させながら呟かれる名前は相手チームのキャプテンのもので。
どうかしている、と自分でもそう思う。
何度も傷つけるためにシュートを打った。
何度も傷つけるために仲間に指示をだした。
それこそが勝つためだと、俺たち帝国のサッカーだと信じていたから。
けれど。
何度も立ち上がる円堂の真っ直ぐなまなざしに射抜かれて。その眼差しにすべてを見透かされそうな気になって。
傷ついた――自分が傷つけた円堂の姿に、ずきずきと胸が痛んで。
――もう立たないでくれ。そう何度思っただろう。
立ち上がれば傷つけなければならない、それが俺たちのサッカーだから。
そんな俺たちのサッカーは……君を傷つける俺たちのサッカーは……本当に俺が求めていた勝利のかたちなのだろうか?
「円堂…っ」
片膝を立て、すがるようにその膝を抱く。
きつく閉じた瞳をそのままに、俺は額を膝に寄せた。
傷ついていくお前の姿が頭をよぎる。
目を閉じていても、何度も何度も。
『鬼道。』
そう言って向けられた笑顔を、無碍にした自分がたまらなく嫌だった。
傷は癒えただろうか?今日も笑っているだろうか??
痛む胸。それは罪悪感だと自分に言い聞かせ、今日も1人で懺悔する。
「円堂……」
お前が俺を惑わせる。
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2011/01/10 next?
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