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長編
わんこ・・・・・からの?
目の前には自分の身長ほどもある狼。背後は崖。身長体重、顔全て平均値こと俺、中野翔は
現在絶体絶命のピンチです。

そんな危機的状況にもかかわらず俺はこうなってしまった経緯を冷静に考えていた。(現実逃避だろっていうつっこみはなしの方向で)

確か、俺は学校から家へと帰っていたはずだ。

(明日の英語の授業当たっちゃうなあ)

とか考えながら。友達から無理やり強奪したチュッパチャップスを口の中でころころ言わせながら少し憂鬱な気分で歩いていたのだ。

うん、そこまでは思い出せる。問題はその後だ。
そこの角を曲がったら家というところで俺が目にしたのはよくある真っ黒の空間とか、フードをかぶった男とかじゃなく・・・・


子犬・・・・・・・・?


ペットショップとかでよく俺を誘惑してくるあの愛らしい存在だった。
いっておく、俺は無類の動物好きである。
真っ黒でふさふさな毛並みの子犬が俺をじっと見ていた。
もちろん俺は・・・・・




めちゃくちゃ緩んだ顔で近づいていった。



「おーい、わんこ、おいでおいで」

じりじりと子犬に近寄っていく。はたから見たら何ともキモチワルイ光景だろう。平凡な顔した高校生がにやにやしながら子犬に近寄っているこの構図。俺だったらドン引きだ。

だがしかし、その時の俺は目の前の子犬に夢中。そんなこと微塵も考えていない。
その子犬はしばらく俺を見つめた後、ふっと俺とは反対方向を向いて走り出した。


「あっ!!!待ってくれ!!!」


子犬の後を追いかける。子犬は家を通り過ぎて近所の公園に入っていった。
それを追いかける俺。どうやら土管の中に入ってしまったようだ。


「おーい、わんこーどこだー・・・・・ってええええええええええええええええ」


土管を覗き込んだ俺が見たのは、俺の右腕をむんずとつかむ大きな大きな獣の腕。そのまま土管の中に引きずりこまれた。その時、



ごいーん



「ぐえっ」


土管で頭を強打した俺はあっさりと気を失った。


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あきゅろす。
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