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最弱魔族観察日記

29
「つ、疲れた…」

たかが服を着るだけだというのに、異様に労力を使ってしまった気がする。

只でさえ体力を極限まで行使させられていたというのに、これは一体何の嫌がらせなのだ。

いくら魔王によってある程度体力を回復させられているとはいえ、元々が足の小指をぶつけただけで瀕死になりそうな体力なのだ。

いくら魔族が魔力を力の源としており、フェリスが魔王によって過分に魔力を与えられていても、受け取る側の容量があまりに小さ過ぎてほとんど駄々漏れ状態となっている。

勿体ないとしか言いようがない。

その代わりとでも言うべきか、常に魔力に充ち過ぎているフェリスは、寝不足だろうが情事後だろうが、その肌はどこまでも張りと透明感を失わず、髪は艶々と輝いている。
もちろん、フェリスにとってそんなものは何の慰めにもならないのだが。

しかし魔王は、それらはすべて崇高なる愛の為せる業であると言うし、この行為は愛し合う二人にとって必要なことなのだと言う。


寝言は寝て言え。


フェリスはそう声を大にして言いたい。
というか実際に言っているのだが、魔王は全く気にとめない。
それどころか

「まったくお前は本当に素直じゃないねえ…しかし、そのように照れて恥じらう姿もなかなかに愛らしい…」

と、相変わらず正気を疑う発言をするのだ。



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あきゅろす。
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