最弱魔族観察日記
16
「やめっ…!!」
「おや」
魔王が不思議そうな声を出す。
その視線の先には
「やはり、さっきのは見間違いではなかったんだね…それにしても、これはまた…随分と本格的だねえ」
女物の黒のヒモパンがあった。
言われるまで全く頭になかったのだが、フェリスは今レキの口車に乗せられて、下着まで女物を身につけていたのだ。
「お前はこういうのが好きなのかい?それは知らなかったねえ…」
笑いの混じった声に
「ち、違う…これはレキの奴が…っ」
フェリスは慌ててミニスカートを引っ張って下ろそうとする。
しかし魔王はそれを許さず、ミニスカートをひっ掴んだままのフェリスの脚の間に、嫌みなくらい長い足を挟んだ。
もちろん魔王のその行動に、フェリスは抗議の声をあげた。
「テメェ!!どこに脚突っ込んでっ…」
「そんなに慌てることはない…私はお前がどのような趣味や嗜好をしていても構わないのだから…そう、ただお前でさえあればいい…」
魔王はそれを完璧に無視。
フェリスの金眼を真っ直ぐに見つめる。
言っていることは紳士的だが、その瞳は先ほどと同様、わずかな怒りや苛立ち、そしてそれを上回る欲情とで揺らめいていた。
「だから…違うって言ってんだろ…勝手に誤解して…気色悪いこと、言うなよ…」
フェリスはこれから自分がどうなってしまうのか不安で堪らなくなり、ゴクッと唾を飲み込む。
その音は、意外なほど大きく聞こえた。
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