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最弱魔族観察日記

6
それがどうだろう。
やはり衣装の力は凄まじいと言うべきか、女物の服に着替えたフェリスは化粧などは全くしていないにもかかわらず、見事に女に見える。

「だ、黙ってないで何か言えよ…」

食い入るように見つめてくるレキに、フェリスの白い頬が紅潮する。

「あ、いや…び、美少女だな〜」

動揺のあまり、まずいことを口走るレキ。

「お前それ本気で言ってんなら、蹴り飛ばすぞ」

「あ、ははは…でも良く似合ってるぜ。これなら問題なさそうだな…いや、それにしても本当に似合ってる」

「全然嬉しくない」

レキが言えば言うほどフェリスの眉間の皺が深くなっていく。

レキはそれを見なかったことにして、先ほどから気になっていたことを尋ねた。

「ところで…フェリスはさっきからなんでスカートを押さえてんだ?」

「………だよ」

「なんだよ?」

「だからっ…スカートがゆるいんだよ!!押さえねえとずり落ちちまうんだっ!!」

目をつり上げて怒鳴るが、その格好では全く迫力がない。

「ああ…なるほど。確かに」

フェリスの細い腰の辺りを見て納得したレキは

「んじゃ、これつけろよ。あと、これもな」

違う袋から、細長いベルトとキャメルの編み上げブーツを取り出す。

「うぅ…」

フェリスは渋々手を伸ばすが

「あ…やっぱ俺様がつけてやるよ」

言いながらフェリスの背後にまわる。

スルリと華奢な身体に手を回すと、手際良くベルトをつけた。

「何か手つきがエロいぞ」

「そうか?でも俺様、本当はベルトは外す方が得意なんだけどな」

「よし、次は靴だな」

「無視かよ」

フェリスは一度ベットに座ると、ブーツを履いて(フェリスのバランス感覚では立ったままで履けないのだ)立ち上がり、くるりと一回転する。

「これでいいのか?」

「ああ…いや、ちょっと待てよ」

その仕上がりに満足げに笑ったレキだったが

「一応これもな」

言って、栗色のウィッグを渡す。

いくら女に見えると言っても、そのままではフェリス本人を知っている者にはバレる可能性があるからだ。

「何でここまでしなきゃならないんだ…」

ブツブツ言いながらも、ここまできたら同じだとおとなしくウィッグをつけた。

「完璧だ」

短く口笛を吹き、フェリスの肩を叩くが、すぐにフェリスに振り払われる。

「触んなよ。…んじゃ、俺もう行くぜ。早くしないと品切れになる」

「ああ、気をつけて行けよ」

意気揚々と家を出て行くフェリスをレキが見送る。




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あきゅろす。
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