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最弱魔族観察日記

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魔王が棲む(と言われている)その城からかなり離れたほとんど人気のない場所に、その物置小屋は建っていた。

いや、分類上はかろうじて家に入るのかも知れない。
しかし、ボロボロで小さ過ぎなために物置にしか見えなかったりする。

そのあまりに狭い部屋(畳に換算すれば大体4畳くらい?)に唯一置かれた家具であるベットで、フェリスは小さくクシャミをした。

「…クシュンッ!…ちくしょ〜…この俺としたことが、まさかこんなヘマやっちまうなんて〜…ハ、ハクシュンッ!」

まさかも何も、いつもヘマしかしていないフェリスは鼻声でそう言い、またクシャミをする。

完全に「魔界風邪」である。

昨日の昼に起きた時(フェリスは朝にも弱いので、起きるのは大体昼頃である)には何ともなかったのだ。

そのあと昼食のために近くの川に行き、竿で魚を取っていた。

ちなみにその竿は「この前のお詫び(※貧乏な日参照)」と言ってレキがくれた物で、餌やテクニックがなくても魚が釣れるというものである。

事実、魚はかかった。

しかし竿をあげた者も使っている者も忘れていた。
魚を釣り上げるためには、多少なりとも力が必要であることを。

もちろん究極に非力なフェリスにそんな力があるはずもなく……

かくして魚に力負けしたフェリスは、釣り上げるどころか逆に川に引きずり込まれてしまったのである。

そしてこれも当たり前のことだが、フェリスは泳げなかった。
しかも頭から川に落ちたために、鼻や口からまともに水が入ってくる。

幸い、遠のく意識にフェリスが死を覚悟した(ついでにレキを呪い殺す決意もした)時に、自分に向けられた負のパワーを感じたのか真っ青な顔色をしたレキが現れ、フェリスを助け出したため命は取り留めた。

レキは咳き込むフェリスの身体から、魔術を使い余分な水気を取る。

そしてぐったりとしたフェリスを家へと運び、ベットに横たえた。

「フェリス大丈夫か?」

心配そうにフェリスに声をかけながら、かけ布団を探すが見当たらない。

「フェリス、何かかけ布団はみたいなのは…」

「…その辺」

「……ひょっとして、これか?」

確かにフェリスがヘロヘロと指差した辺りには布の塊があった。
しかし

「…これはかけ布団って言うより、座布団って言わねえか?」

「うるせぇな、いいじゃねえかよ。意外に暖かいんだ」



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あきゅろす。
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