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最弱魔族観察日記

15
「あー…だからほら、あれ。備えあれば憂いなしっていうか、破れ鍋に綴じ蓋っていうか。別に丸腰じゃ勝てないってんじゃなくて…」

色々言っているうちに、混乱してきたらしい。

(俺、何言ってんだよ…いや、っていうかそもそもなんで俺はこんな奴に必死に説明してんだ…?)

よく考えれば、自分と魔王は友人でもなければもちろん恋人でもなく、知り合いというより出来れば一生知り合いたくなかった天敵である(とフェリスは思っている。あくまでフェリスだけではあるが)

そんな相手に、何故自分がわざわざ説明してやらねばならないのか―自分の考えに怒りがわいてきた(人はそれを逆ギレと言う)フェリスは、何とか服を整えると地面に手をつき、ゆっくりと立ち上がる。

少しよろめいたが足に力を入れ、魔王が立っている方とは逆の方向へと足を踏み出した。

「おや、どこへ行くんだい?」
「テメェのいないところだよ。ついてくんなよ」

予想通りのフェリスの言葉に

「別にかまわないけどねぇ…帰り道はわかるのかい?」

もちろんわかるわけがない。

「まったく…お前は手のかかる子だよ」


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