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最弱魔族観察日記

13
「うるせぇっ!!」

その手をバシッと振り払い、自分で立ち上がろうとするが足に全く力が入らず、再びペタンと座り込んでしまう。

「おやおや。あまり無理をするものではないよ。ただでさえ体力がないのに」
「黙れって言ってんだろっ!」

振り払われた手を口元にあて、クスクスと笑う青年。

「恩人に向かって大した言い様だねぇ」
「誰も助けてくれなんて頼んでねぇよ」

喘ぎ過ぎて掠れた声で、それでも悪態をつくフェリスに

「仮にも魔王である私にそんな口をきくのはお前くらいだよ」

青年ー魔王は揶揄を含んだ声で言いながら、周りに脱ぎ捨てられていた服をフェリスに渡す。

フェリスは無言で服をひったくった。

「お礼くらい言って欲しいね」
「誰がっ」
「まあ、その態度も愛情の裏返しだと思えば、可愛いんだけどねぇ」
「ありがとよっ!」

渡された服ー濡れていたはずだが、ご丁寧に魔王が乾かしたらしいーを震える指で身に着けながら、叫ぶ。

「どういたしまして、我が愛しき思い人」
「殴られたくなかったら、今すぐそのふざけた口を閉じろ」

怒りを通り越して殺気さえこもった視線を向けられても、魔王は笑顔を崩さない。


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