最弱魔族観察日記
2※
「は、…離せッ、離せよ!!」
両腕を、趣味の悪い黄色のネクタイで縛られたフェリスが叫ぶ。
「離す訳がねぇだろうが、ああん?」
フェリスを縛った男――ネクタイ無し男が、細い目に凶暴な光を宿して恫喝するように言う。
「悔しかったら自力でどうにかするんだな、ええ?俺たちにあんな口を叩いたんだ、それくらい簡単だろ。ああ?」
仰向けに引っくり返った虫のように手足をバタバタと動かしているフェリスを、男たちが嘲笑う。
――不穏な台詞を吐いた男たちは、喚くフェリスの躯をあっさりと押し倒すと、とても手際良く細い手首を縛ってしまった。
無論フェリスとて抵抗はしたのだ。
しかし相手は体格で勝る男で、しかも二人がかり。
本人は徹底的に否定するだろうが、結局『達者なのは口だけ』のフェリスが敵う筈などない。
上着は既に力任せに剥ぎ取られ、フェリスの輝くような白い肌は土で汚れていた。
しかも地面に転がされているので、背中にゴツゴツと小石が当たって痛い。
正直フェリスにとってはかなり致命的なダメージだ。
しかし男たちはフェリスの痛みなど当然無視して、現れた素肌に手を這わせた。
「―――ッ!!」
ガサガサとした男たちの掌が動き回るにつれ、白い肌がピンクに染まっていく。
「良さそうじゃねぇか、ええ?」
「ホントはこんな風にされんのが好きなんだろ?ああん?」
男たちはすべらかな白い肌をゆっくりと手で撫で柔肌を味わいながら、下卑た笑みを浮かべる。
「ちっ…違う……俺は……あっ…あぁっ!!」
「嘘つくなよ、ああん?」
ネクタイがある方の男が、嘘をついた罰だというように左右の胸の突起を摘みあげた。
「や、やめ……!!んッ、ふ…ぁ…」
ビクンッ、と躯が跳ね上がる。
抵抗は見せるものの、鼻から漏れた吐息を男たちは見逃さなかった。
再び笑い声が起こる。
フェリスはそれを聞きつつ、快感でぼんやりする頭の片隅で考えた。
ここは森林で囲まれていて見通しが悪く、その上近くに民家や店などの建物もないため、昼間でも人気はほとんどない。
つまり突然親切なヒトが助けに、などということは期待出来ない。
もし助けがくるとすれば――
(だ、駄目だ!!アイツだけは駄目だッ!!)
――もし助けがくるとすれば、それは限りなく加害者に近い救世主だろう。
いや、それどころか――下手をすればこの男たちに襲われた方が何倍もマシな事態になる可能性だってある。
(いや、絶対にそうなる…あの変態がこんな絶好の機会を見逃す訳がねぇ…ッ!!)
ならば、どうにかアイツが来るまでにこの状況を何とかしなくてはならない。
しかし心ではそう思っていても、躯が全く言うことをきいてくれないのが事実である。
フェリスの薄紅色の胸の突起は、これ以上ないほどに硬く尖り立っていた。
男たちはその感じやすい突起を指で摘み、擦り上げ、弄ぶ。
「や、ぁ…いやぁ……あっ…あん!!……ッふ…んん…んッ!!」
勃ち上がった乳首の先端が左右にコリコリと摩擦され、熱い刺激を与えてくる。
その間フェリスは赤く染まった顔を背け、固く目を瞑り刺激に耐えていたが、口からは堪えきれない吐息と喘ぎ声が漏れる。
「あぁぅッ…ひ、あぁッ!!」
フェリスの躯が何度もビクビクと跳ねるのを見て、男たちは満足そうに笑った。
「へっ、この淫乱が。どうせ此方はもうビショビショに濡れてんだろうが、ああん?」
ククッっとくぐもった嗤いを漏らしながら、腰の辺りをさ迷っていたネクタイのない方の男の指が、ズボンの中へと潜り込もうとする。
それを感じたフェリスは、僅かに閉じた瞳を開く。
霞む視界の端に、ピクリとも動かないテッチャンの足が見えた。
――ここまできてしまっては仕方がない。
せめて声だけは堪えようと、フェリスは唇を噛み締めた。
どうせ初めてではないのだ。
ちょっと目を瞑っていれば直ぐに終わるだろう。
(でも後で絶対に復讐してやる。この世に存在してるのが嫌になるぐらいのスゲェやつを…寝てる間にスライムを口に詰めるとか…)
「――まったく…何故お前はそう意地っ張りなんだろうねぇ…」
……果たして、フェリスが心の底から来て欲しくないと思っていた存在は、悪い意味でどこまでも期待を裏切らない人物であった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!