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最弱魔族観察日記

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「…ハァ…ハァ…さい、あくっ、だっ…」

少年が迷い込んだその森は、人が歩くにはあまりにも不向きとしか言い様のない所であった。
樹の根は絡まり合い、生い茂った樹の葉が空を覆い隠している。
たとえ遮るものの何もない平地であっても、薄暗いこの世界―俗に魔界と呼ばれているーにおいても余程の物好きでない限り、足を踏み入れないであろうことは簡単に予想できる。

よりによってこんな所に迷い込んでしまうとは、運が悪い時は何をやっても上手くいかないものである。

それでも足を止める訳にはいかない。
ここで諦めてしまえば、少年に待っているのは骨になる運命である。

「…ハァ、ハァ…クソッ…アイツら、今度会ったら生まれて来たことを後悔させてやるっ!!」

口では偉そうなことを言っているが、それは口だけで、実際は5メートル行くごとに樹の根に引っ掛かり、顔面を地面に打ち付けている。
そのせいで少年の顔は土でドロドロに汚れ、表情さえわからないありさまになっていた。

しかしいくら歩きにくいとは言え、さすがに少々転び過ぎな気がする。
どうやらこの少年、凄まじい運動能力の持ち主であるらしい(もちろん悪い意味で)

「…ん?」

少年が立ち止まった。

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あきゅろす。
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