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最弱魔族観察日記

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「読むって…そんなのの作り方載ってる本なんかあるのか?……ん?っていうことはお前、それ造るときに読まなかったのかよ!?」

普通に聞きかけて、内容を反芻し思わず突っ込みを入れた。

「馬鹿じゃねえの、失敗して当たり前じゃねえか!!」

「失礼なことを言わないでくれるかい。きちんと読んださ。ただ…少々文字が小さく、それでいてページの数が多かったのでねえ…途中で眠くなってしまったんだよ…」

フェリスは眼と口を丸くしたまま、固まる。

これであるポーズをとれば、立派な生きたハニワ人形になるだろう。

「最初の5ページは読んだんだがねえ…」

魔王が何か言っているが、それが理由になるとでも思っているのだろうか。


ようやく凍結から解放されたフェリスは、気を落ち着かせるために何度か深呼吸を行うと

「この馬鹿!!作り方のレシピとか取り扱い説明書はちゃんと隅々まで読めよ!!」

厳密に言うとその2つとはまた何か違う気がするが、まあ、言っていることは間違いではない。

「仕方がないだろう。不思議なことに絵も描かれていなかったし、あれではとても読む気にはなれないよ…」

「絵本じゃねえんだ、絵のあるなしで決めるな。俺なんか、傘の取り扱い説明書だって読んでるのに」

魔王のは問題外だが、フェリスのも、かなりの問題発言である。

フェリスはとある理由により頻繁に傘を損傷してしまうため、その度に傘を買いにいく。

その時、やたらと店の者に「良いですか?これは傘です。身体を雨に濡れないようにするための道具です」と念押しされ、更に「食べられません」を連呼される。

そして最終的に何故か『傘の使い方』というタイトルの、手書きの小冊子を渡されるのである。




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あきゅろす。
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