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「女神の受難!?」

アリとゾウの関係
言葉に込められた意を読み取ることは不得手でも、空気を読む能力にはそこそこ長けているギーグは、その行動に強い拒絶を感じ、目標を変更する。

「ところで…そこの黒ずくめの兄ちゃん。アンタも傭兵なのかい?」

まさか、ここで自分に矛先が向くとは思っていなかったセツナ。

「えっ?…あ、まあ…一応…」

「……へぇ…」

気構えていなかったせいで動揺し、口の中でモゴモゴとハッキリしない答えを返すセツナに、ギーグは―わかりやすく言うなら、少し馬鹿にしたように―笑い

「……まあ、別に良いけどよ。アンタもついてくる気なら、あんま足引っ張らないようにしてくれよな」

ルー、ついでにリンに対していたものとは、かなり異なる態度を取る。

(……えーと、それは…どういう意味なんだ?)

神力やその他諸々の大半が封印を受けているとはいえ、元が元である。

確かにルーたちは人間としては卓越した力を持っており、中でも規格外とも言える魔剣を使うルーは多少なりとも厄介だが、それでも尚、自分の方に分がある―セツナはそう考えていたし、実際にそうであろう。

つまり、セツナが足手まといになることなど、あり得ないとしか言い様がない。

にも関わらず、ギーグのこの言動。

もし見た目に惑わされているのだとすれば、それはセツナ以上に傭兵に見えないリンにこそ言うべきことだろうし、第一ギーグは事前にリンの実力を看破している。
セツナを見た目だけで侮ることはない筈だ。

(わからないな…どういうつもりなんだ?)

もしや自分を挑発して…いや、アイツ(ルーのことである)じゃあるまいし、そんなことをする理由なんかないし…
セツナは色々推測していたが、理由はもっと単純だった。

ギーグには、セツナの力がほとんど感じ取れなかったのである。

蟻ほど小さきモノが象のように巨大なモノを見た時、果たして蟻はそれを正しく象であると認識出来るのか?

答えは否である。

それと同じように、人間の中では『それなりに強い』レベルのギーグには、セツナの実力を完全に推し測ることが出来なかったのだ。

おそらくルーにしても、魔剣アケヒメを解放した全力状態では、視覚的には伝わるだろうが、今ギーグが感じているような感覚として力を感じることは出来なくなるに違いない。


なので、ギーグの態度も仕方ないと言える。

しかし、当然それでは済まされない者もいるわけで…

(何なワケ、あの態度……ムカつくんだけど)

(テメェの目ん玉は節穴か、っちゅうねん)

……普段のお互いに対する態度がアレなわりには、息ピッタリな二人である。

ギーグは自分が犯した失敗には気付かなかったが、何故か身体を走った悪寒に「何だ?」と首を傾げながら、身を震わせていた。



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あきゅろす。
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