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「女神の受難!?」

決闘?
「それで…結局どうなるんだろ?」

「どうって…何が?」

「……レイって、ホント鳥頭だよね。さっきあの嫌味なオジサンが言ってたことだよ。これだけ人がいるのに、どうやって依頼する人決めるのかな?」

「ああ、そのことか…傭兵同士で勝ち抜き戦でもするんちゃうか?」

「…今から?結果出るの、きっと三日後だね。その間ずっと、この人数を城に閉じ込めとくんだ?わ〜、大変だ。食費も一杯かかるだろうな」

「そ、そうやけど……わかった、謝る。オレが悪かったわ、良く考えやんと言うて…」

リンはヨムのことを嫌味と評したが、もし彼が二人の会話を聞いていれば、きっと「お前には言われたくない」と言っていただろう。

レイを弄るのを止めたリンは伺うようにセツナを見たが、セツナは無言で首を振る。

正直、見当もつかない。
実は一瞬、レイが言ったように武術大会でも開くのかとも思ったが、リンに言われるまでもなく直ぐに同様の理由に思い当たったので、口には出さなかったのだ。

「そっか…う〜ん、気になるなぁ」

相手がセツナだからか、いつものような毒舌は発揮されず、首を傾げて悩むリン。

そしてセツナの方は、興奮冷めやらぬ傭兵たちの向こうで、こちらに背中を向けて佇む騎士を見詰めていた。

あの使用人がどういった方法で傭兵を選出しようとしていたのかはわからないが、今は騎士がその任にあたることになったのだ。
今までの態度を見るに、真面目で正義感が強い性格なのだろう。
責任を押し付けられた騎士には悪いが、傭兵たちにとってあのヨムよりも良い方向に転んだのは間違いない。

(でも…あの騎士にしてみたら、これってかなりの災難だよな…)

セツナが安堵と罪悪感を同時に感じ、どうしたら良いのか当惑していると、当の騎士がいきなりこちらを振り向く。

「…すまない、待たせてしまったな」

その声は厳しいが決然とした響きを宿し、予想された憂いや焦りは全く感じられない。

「見ての通りだ、これからはこの依頼の担当者は私となる。色々と不満はあるだろうが、今だけはそれを抑えて欲しい。どうしても言いたいことがあるなら、後で私個人に言ってもらいたい」

もちろん不満はあった。だがそれは、目の前の騎士に対してではない。

誰からも異論の声が起きないのを確認し、騎士は一度目を伏せ「感謝する」と呟くと

「それでは説明に入る。まずは――依頼を受けてもらう傭兵を選出する方法についてだ」



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