ヘッドエイク
なんかBL風味…
シンタロー視点です。
***
頭が、揺らされているように痛む。
「…またか」
椅子から立ち上がり、壁に向かって軽く頭を打ち付ける。
壁はひんやりと冷たく、気持ちがよい。
偏頭痛。
俺が中学生の時から悩まされていたものである。
昔も机に突っ伏したりしていて、よく隣のやつに心配された。
ちなみに、ここはアジトではない。
今日は家で引きこもる予定だ。モモもカノもいない。エネもアジトにいる。
「う…い、てえ…」
ぐらぐらと揺れる頭では、作曲だってまともにできない。
ニコ動でも見て、気を逸らそう…
そんなことを思い、椅子に座り直した。
「シンタローさん、大丈夫っすか?」
「いつものことだしな…別に」
「そっすか…」
ん?
「じゃ、ポカリ買ってきたんで、後で飲んで下さいっす」
「あぁ、ありがと…じゃねーよ!」
思わず立ち上がる。
ドアのそばには、セトが立っていた。
「何でおま…ここに居るんだ!?」
「そりゃあ、シンタローさんが辛そうだからっすよ!」
セトはフードを脱いで、腕を広げた。
当然だとも言うように。
「ここ俺の家だぞ!?捕まるぞ!?」
「シンタローさんがそんなことするわけないじゃないっすか!」
「カギどうしたんだよ!?」
「エネさんが「シリンダーが旧型だから楽勝」ってこれを……」
「いやそれピッキングだよな!?…っう……」
めまいと立ち眩みが、いっぺんに頭を襲った。
立っていることもままならなくなり、そこに座り込む。
「わっ…大丈夫っすか!?」
セトは持っていたビニール袋からひえピタを取り出した。俺の前髪を上げ、それを貼る。
「う…ありが、とう……」
「風邪じゃないみたいっすけど、もどしそうだったら言って下さい」
軽く能力を使ったようで、セトの目は少し赤かった。
「―ちゃんと寝ないと、頭痛だって増えるっすよ?」
そう言って、軽く微笑む。
根っからの世話好きなのだろう。
セトは立ち上がると、俺のベッドを直し始めた。
少し気分がよくなった。ひえピタの底力だろうか。
「…なあ」
「どうしたんすか?」
「お前、いいやつだよな」
「……へ」
セトの頬が赤くなっていく。
「ちょ…ひ、卑怯っすよ!?そんな…」
「え?…」
「い、いいから、早く寝て下さいっす!具合悪いんすから…!」
そう言うと、セトは俺をベッドに押し込んだ。
まだ頭は痛いが、久しぶりによく眠れそうだ。
「…おやすみ」
「………っすよ」
セトは少し恥ずかしそうに、何か呟いた。
「…え?」
「何でもないっす。早く寝て下さい!」
俺はしぶしぶ目を瞑った。
何となくだが、今日は良い日だった気がする。
***
セトシンでもシンセトでもありませんよ!
シンタローの偏頭痛は捏造です。
天才だからあってもいいかなと思って。
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