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02


また本を奪ってやろうかとも考えたが、集中しているようだから止めておいた。
俺は爽太と響に新歓の事に関してお礼のメールでもしようか、そう思って携帯電話をポケットから取り出した。
メール画面を開こうとしたところで「そう言えば」と風折が俺の方に顔を向ける。



「本庄の事だが」


「本庄……ああ、未琴の事ね。未琴がどうかした?」



そう言えば未琴の苗字は本庄だった気がする。
それを思い出して風折の方を向けば、眉間にシワを寄せてため息をついた。
「何なんだアイツは」と小さく、誰に問い掛けているのかもわからないような声で呟く。



「昨日風紀委員室に連れて行ったが話にならない。口を開けば『お前カッコいいな』だの『友達になれ』だの……本当に話にならない」



そう言えば俺と会った時もそんな感じだった。
風折も美人だから未琴に狙われたらしい、俺は段々と眉間にシワを深くする風折に小さく笑う。
あんまりこんな風に誰かの文句を言う所を見た事が無かったから、なんというか珍しいものを見た感じがする。



「それは大変だったね」


「ああ。他の役員に変われば『俺は悪くない』と騒ぐだけで具体的な話もない」


「……本当に大変だったんだね」



話を聞いただけで状況が思い浮かぶ。
俺は笑顔を引きつらせ、労りの言葉をかけた。



「だが秋葉がいてくれて助かった。何があったのかも把握できたしな」



ふっ、と口元をゆるませる風折にホッとした。
あれからどうなったのか少し心配だったから、「それならよかった」と響がきちんと話してくれた事を安心しながら頷く。
響にお願いしたのは正解だった。



「喧嘩の原因は五十嵐。更に元を辿ればお前が関わっているらしいな、立花」


「あー……うん。まあ、そうなるのかな」



話が変わった。風折の表情も変わった。風紀委員長の顔だ。
鋭い視線からすかさず目を反らした俺は、曖昧に苦笑を浮かべて答える。
この話は、あまりしたくなかった。
そんな俺の様子にため息をついた風折は「立花」とキツい口調で俺を呼んだ。



「関係するのをやめろとは言わない。だがあまり手を出しすぎて問題になったら看過する訳にはいかないぞ」






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あきゅろす。
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