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01


朝。
インターホンの音で目を覚ました俺は、気だるい体を無理矢理起こしてベッドから這い出る。
ゴミ箱にある使用済みのコンドームの数々を見て、そう言えば昨日久しぶりにシたんだなと思い出した。

結局、あれから唯の気が済むまでする羽目になった。
なんとか言いくるめて唯を部屋から出し、気付いた時はもう遅い時間になっていた。おかげで眠い。
あくびを噛み殺して寝癖が酷いであろう髪をかきあげ、ドアを開ける。



「……あれ、風折。どうしたの」



そこには制服をキッチリと着ている風折が立っていた。
朝早いなぁ、と思いチラリと部屋の時計を見ればもう8時を指していた。
うわ、寝過ぎた。

「どうしたもこうしたもない」と俺の姿を見た風折が目を細める。



「新歓が終わったから授業に出ようと思ったんだ。昨日の今日だから迎えに来たんだが……何だその格好は」



なるほど、風折は昨日俺が未琴に水をかけられたのを心配してくれていたらしい。
自然に口元が緩んでくる。

それから風折の言葉に自分の姿をまじまじと見つめて、ハッとした。
普通に上半身裸だった。



「昨日、唯が部屋に来てね。色々あって上着る前に疲れて寝ちゃったんだよ」


「……お前は懲りないな」



俺の言葉に、案の定呆れたような視線を向けてくる風折に「しょうがないよ。まさか部屋来るとは思わなかったし」と苦笑を浮かべて言い訳をする。
結果的に唯を追い出さずに何回も行為に及んだ自分も悪いんだけど、ね。



「後から行くから、風折は先行ってて」



とりあえず、あと30分あれば着替えて髪の毛をどうにかできる。
あとは適当にパンでも焼けばいいだろう。
「遅刻するなよ」という風折の言葉に頷いて扉を閉めた。







なんとか準備を終えた俺は、走って遅刻ギリギリで教室につく事ができた。
息を切らして教室に入れば「立花様も登校なさったよ!」「立花様も風折様も素敵っ」なんて声が飛び交う。
声をかけてきた子にヒラヒラと手を振りながら席に着き視線を隣に向ければ、風折は本を読んでいる。



「おはよう、風折」


「ああ、おはよう」



さっきは満足に挨拶が出来なかった。
相変わらず読書好きの風折に声をかければ、チラリと視線を俺に向けてまた本へ向き直る。






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あきゅろす。
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