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響は基本的に無表情で、その顔立ち故に恐いと勘違いされてしまう。
けど、とてもわかりやすい子だと思う。
こうやって照れたりするとすぐに顔に出るし、緊張するとキョロキョロしちゃうし。
きっと皆、見た目に惑わされて響の可愛いところを見ようとしないんだよね。

クスリと笑い「可愛いね」と言えば、「んなことないっすから!」とバッサリ切り捨てられてしまった。
口調はきつめだけど耳は未だ赤くて、俺には可愛くしか見えない。



「ところで、未琴の話だけど……未琴は響の友達なの?」



回りくどい言い方も思い付かず、単刀直入に気になっていたことを問い掛ければ響が息をのむ。
聞いてはいけない事だったのかも、と少し後悔するが聞いてしまったことは仕方がない。
それに、響にはちゃんとしたお互いの事を想いあえるような友達を作って欲しかった。
未琴と響のやり取りを見ていると、未琴の無理矢理な一方通行に見えてならない。



「……正直、よくわからない、です」



暫くしてから吐き出すように言った響は顔をしかめた。
そんなに表情を歪めるまでの嫌なことが、何が起きたのかわからず首を傾げれば響はポツリポツリとだけど説明してくれた。



「圭さんと爽太と別れてから部屋戻ったら未琴がいて……その、俺の事怖がらねえから……良い奴だと思ったんです」



確かにあの未琴の性格は、怖いものなしという感じではあった。
だからこそ昴も未琴を好いたんだとは思う。
俺も面白い子だなとは思った。勿論タイプではないけどね。
それにしても次席だったのに同室者が出来ちゃったんだね。部屋数が足りなくなったとかなら仕方ないけど、それにしてもこれから苦労しそう。



「けど……ええと、その、性格についていけないっつうか……」



そこまで口にしてから、響は俯く。
さっき会って話したばかりで未琴の性格を全て理解したわけではなかった。
けど確かに昔虐められていたせいか繊細で傷付きやすい心を持った響には、未琴はちょっと刺激が強すぎなのではないか。
一気に距離を詰めていくんじゃなくて、ゆっくりと時間をかけて親しくなっていくのが響には良いんだと思う。
……俺の勝手な考えだけど。



「ついていけないなら、無理しなくていいと思うよ。嫌な事は嫌っていう強さも響には必要じゃないかな」






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