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「本庄君って何だよ、友達だろ?名前で呼べって」



何だかフレンドリーな態度に先輩後輩みたいな上下関係は最早ない。
でもまあ本庄君が友達になりたいなら、減るものでもないし別にいいけど。
俺が「じゃあ改めて宜しく、未琴」と言って笑えば未琴は唯一見えている口元の端を上げて笑った。

ちょっと強引だけどフレンドリーだし良い子みたいだな、と思っていた俺だけどそれに納得のいかない人もいるようで。
特に視界の端に見える唯の表情は曇っていて、淀んだオーラを放っている。



「ちょっと、マリモくーん?オレの圭くんと馴れ馴れしく会話しないでよ、図々しいなぁ」



俺が爽太にしたように、未琴と俺の間に体を滑り込ませた唯。
腕に手を回しながら、キッとたれ目な瞳を吊り上げマリモくんもとい未琴を猫のように威嚇した。
いつ唯のものになったのかというツッコミはしないでおく。



「何だよ、唯!友達なんだからいいだろ?」



威嚇している唯に気付いていないらしい未琴に、唯は相当苛立っているようで「……オレのファーストネームを呼ばないでよ、ムカつくなぁ」とボソッと呟くと鋭い舌打ちをした。
普段穏やかな爽太と唯を怒らせるなんて、未琴も随分やり手だと思う。



「圭くんは優しいから何も言わないだけなんだよ。だからオレが言ってあげてるんだから気付けよー。まさかマリモな上に低能なわけじゃないよねえ?」


「ハァ!?何言ってんだお前!」


「だから、マリモくんは本当に融通のきかない馬鹿だなって言いたいのー」



けど、正直これはやり過ぎだよね?
激しい言い合いが発展しいつ殴り合いの喧嘩になるかもわからない状況に、俺はどうしようかと考えを巡らせる。
亮が何とかするわけもないし、爽太と響に至っては巻き込みたくない。
となると残るは俺と昴になるわけで。
俺に関わる喧嘩だし、下手に介入したらしたで激化して本当に殴り合いにもなりかねない。

俺は二人から離れると仏頂面で喧嘩を眺める昴に近寄った。
ポンと肩に手を置けばビクリと体を震わせ、更に俺の顔を見ると驚嘆したように目を見開いた。






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