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聞き覚えのあるフレーズに首を傾げれば、亮は頷いて人差し指を向ける。
その指の先には本庄君がいた。
もしかして、本庄君が転入生なの?

そこまで考えたところで、委員会室で爽太が言っていた言葉を思い出した。
そう言えば転入生に関わるなとお願いされた気がする。



「爽太、もしかして本庄君が例の……?」


「……転入生ですよ」



もしやと思い視線を爽太に向ければ、やれやれと言った様子で頷かれた。
俺は早々、爽太のお願いを無下にしてしまったらしい。



「爽太!コイツと知り合いなのか!?」



俺と爽太が話しているのを見ていた本庄君は、随分と大きい声で言いながら爽太に詰め寄る。
そんな本庄君に、爽太はわかりやすく顔を歪めた。
いくらが嫌でもそんなに顔に出したら本庄君が傷付くんじゃ、と思ったが見る限り気にしている様子はない。

……たぶん、寛大とかそういうの関係なく鈍感なんだね。



「先輩をコイツ呼ばわりするなよ、本庄」


「それくらい別にいいじゃん。それより、未琴って呼べって言っただろ!」



珍しく怒っているらしい爽太は、本庄君に睨むようにして視線を向ける。
そんなことどうでもいいらしい本庄君は、爽太のお怒りも何のそのだ。

一気に不機嫌になった爽太は眉間に深いシワを刻み、眉をつり上げた。
確かにコイツ呼ばわりは気分が悪いけど、そうも言ってられない。
そのまま口を開くもんだから、喧嘩になったらヤバイなと反射的に俺は爽太と本庄君の間に入った。



「俺は立花圭だよ。宜しくね」



にこりと笑顔を浮かべれば、後ろから「先輩っ」という爽太の焦ったような声が聞こえた。
俺はチラリと後ろを振り返ると「大丈夫だよ」と口パクをする。
それが伝わったらしく、爽太はグッと押し黙ると小さく頷いた。
うんうん、物わかりの良い子は好きだよ。



「圭って言うのか!宜しくな、圭!」


「うん、宜しくね本庄君」



本庄君が差し出してきた手を握れば、ブンブンと腕が千切れそうなくらい上下に振られた。






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