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俺が口にした疑問に、爽太が何かを言いかけた時だった。
キャーだかギャーだか、ともかく凄まじい叫び声が食堂内に響く。
あの黄色い声とは比べ物にならないくらいの音量だ。
「せ……先輩、あれ!」
あまりの煩さに「うわ」と声をあげて眉間にシワを寄せる俺に、爽太は慌てた様子で俺の後方を指差した。
振り返り指差す方を向けば、ビックリするような光景が目に入った。
「……やるね、昴」
驚くことに、昴と黒髪の生徒がキスをしていたのだ。
知り合いだったのは響じゃなくて、黒髪の生徒だったらしい。
思わず苦笑を浮かべる。
「爽太、爽太。行ってみようよ」
それから「何か面白そうだし、ね?」と笑顔で爽太を振り返った。
もし昴の恋人か何かだったらどんな子なのか詳しく聞きたいし、それに書類も渡さなきゃだから丁度良い。
俺は封筒を手にしてガタッと椅子から立ち上がる。
「え、ダメですよ先輩!」
「でもご飯食べ終わったからもう帰るし、書類渡すなら今だよ?」
「それは、そうですけど……!」
何故か凄く慌てている爽太は、立ち上がった俺の服の裾を掴んだ。
その行為が可愛くてちょっとキュンとした。
とりあえず何が駄目なのか解らないが、好奇心は抑えられるわけもなく。
俺は掴んでくる爽太の手をやんわりと解くと「爽太」と優しく声をかける。
そんな俺の様子にこれ以上何を言っても無駄な事を悟ったのか「後悔しても知りませんからね」なんて意味のわからない事を言いながら立ち上がった。
何だかんだ付いてきてくれるんだから、爽太は優しいよね。
「ありがと、爽太」
ニコリと笑ってお礼を言う。
それから先に食べ終えた料理を戻しに行こうとすれば見覚えのある親衛隊の子が、爽太の分まで頼まれてくれた。
そんな優しい親衛隊の子の頭を撫でてから爽太と並んで昴達の元へと向かう。
食堂の騒ぎの中心に近付くにつれて、声がハッキリと聴こえてくる。
昴にキスをされた黒髪の生徒は顔を真っ赤にしていた。
「急にキスとかすんなよ!もう行こうぜ響!!」
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