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「お待たせ致しました。ペペロンチーノと和食定食でございます」



両手に料理を持ったボーイさんが俺達の目の前に料理を置く。
久しぶりの食堂の料理は前よりも豪華さがグレードアップしていて、見た目も美味しそうに見えた。
「頂きます」と二人で手を合わせて口を付ける。



「さすが一流シェフなだけあるよね、美味しい」


「はい、美味しいですね」



こうして楽しく談笑しながら夕食を食べていれば、いきなり爽太の表情が崩れる。
どこか一点を見て渋い顔をする爽太に、さっきまで笑っていたのにどうしたんだろうと俺は視線の先を見た。

するとそこには響と、見知らぬ黒髪の生徒の姿があった。
モサモサの黒髪の生徒は分厚いメガネをしていて顔が全く見えない。
響の友達なのだろうが見たことがない。

いつの間に食堂まで一緒に行く友達ができたんだね、響。
良かった良かった。



「どうしたの、爽太。大丈夫?」


「いや、その……大丈夫です」


「そう?なら良いんだけど……」



全く大丈夫そうには見えない爽太の様子に、「本当に大丈夫?」と問おうと口を開いた。
が、その言葉は爽太の耳に入る前に凄まじい叫び声によってかき消された。
生徒の黄色い声にどうしたんだろうと辺りを見渡せば、食堂の入り口に生徒会の姿が見える。

なるほど、生徒会が来たから煩いのか。
ああでも松永君はいないみたいだね。
まあ人と関わるのが好きじゃないみたいだから仕方ないと思う、けど。



「さすが生徒会、凄いですね……」



苦笑を浮かべる爽太に「そうだね」と釣られるようにして苦笑いで頷いた。
食べ終えた定食をそのままに生徒会の集団を見つめていると、先頭に立つ生徒会長である昴が迷わずにズカズカと進んでいく。
どこに行くんだろうなと様子を伺っていれば、昴は驚く事に響と黒髪の生徒の前で立ち止まった。



「昴って響と知り合いなのかな」


「いやあれは響と知り合いって言うよりも……」






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あきゅろす。
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