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「そうだな……じゃあ今度、爽太の手料理が食べたい」
ニコリと笑ってそう言えば「えっ」と爽太の動きが止まる。
お尻を触る前に段階を踏んでより親密になった方がいいかなと思ったんだけど、手料理は行き過ぎたかな。
お宅訪問くらいが丁度良かったのかも、と俺は自分が言ったことを少し後悔する。
「嫌ならいいよ、無理言ってごめんね」
「いや全然嫌じゃないです!でも、立花先輩に俺なんかの料理が口にあうかどうか心配です……」
苦笑を浮かべて謝罪すれば、勢いよく爽太に否定された。
嫌じゃないって事は、手料理食べられるんだよね?嬉しいなぁ。
俺は嬉しさにニヤニヤと口元に笑みを浮かべながらも、不安気にシュンとする爽太の頭をヨシヨシと撫でた。
「そんな心配しないで。爽太の料理だったら味なんて関係なく喜んで食べるよ」
「……本当、ですか?」
不安を和らげようとすれば、爽太は上目遣いに俺を見上げて小さく首を傾げる。
あまりの可愛さに鼻血が出るかと思った。
言わずもがな可愛い男よりもカッコいい男が好きな俺には刺激的過ぎる。
俺はそんな爽太から目をそらすと、明後日の方向を見ながら微笑む。
「本当だよ。楽しみだなぁ爽太の手料理」
俺は自炊する時も簡単で決まった料理しか作れない。
例えば炒飯とか、炒飯とか、あとは炒飯とか。
聞いた話によれば爽太は昔から料理が得意なようで和食から洋食、中華までお手の物らしい。
もうこれは期待せざるを得ない。
ワクワクと心を踊らせていると「そこまで楽しみにされるとプレッシャーです」と爽太に苦笑された。
そんなに顔に出たかな。
「先輩は、やっぱり和食が好きなんですか?」
「そうだね、和食が好きだよ」
「じゃあ頑張って和食作りますね」
「俺、和食なら練習してるんで結構自信ありますよ」と爽やかに笑う爽太。
俺の大好きな和食を作って貰える嬉しさも宛らながら、俺が和食が好きな事を知っている事に驚いた。
「俺が和食好きなの、知ってたんだね」
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