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食堂に着き扉を開ければ、久々に現れた俺と爽太への黄色い声。
正直煩かったけど、そこまで俺達を思ってくれるなんて少し可愛いからヨシとする。
「爽太、何食べる?」
食堂は既に沢山の生徒で賑わっていたが、親切な生徒に真ん中の席を譲って貰った――まあ、俺の親衛隊の子みたいだったけどね。良い子が多くて嬉しいよ。
そこに相向かいになるように爽太と座った俺は、タッチパネルを操作しながら爽太に視線を向けた。
「俺はペペロンチーノで」
「じゃあ俺は和食定食にしようかな」
「あ。先輩カードキーを、」
「いいよ。面倒だから俺のカードキーで払っちゃうね」
ペペロンチーノと和食定食をタッチしてから、機械に俺のカードキーをスライドさせる。
このカードキーは事前に口座に入金する事によって、機械にスライドするだけで口座から勝手にお金が引き落とされる。
村井田君みたいに落としちゃったら大変な事になるから、万単位でしかお金を入れてない人がほとんど。
まあ、生徒会の会長様は物凄い量入れてるんだろうけど。
「すいません、立花先輩。今度何か奢らせて下さい」
面倒だからと自分のカードキーを使ったものの、どうやら余計面倒な事になったらしい。
爽太は眉を下げて、本当に申し訳無さそうな表情をしていた。
そもそもこの学園にいるのは殆どが有名企業の息子やら資産家の息子、所謂御曹司やらだ。
そして例によって俺もその中の一人なわけで、料理の一品なんて大して痛い支出でもない。
「気にしなくていいよ。たまには先輩らしいとこ見せなきゃでしょ?」
「そんな!先輩にはいつもよくして貰ってます!」
食堂の料理の値段なんてたかが知れてるというのに、爽太はそれでは気が済まないらしい。
誤魔化そうと思ってみたものの、「だからたまには恩返ししたいんです」と真逆の効果を成してしまった。
仕事を頑張ってくれてるだけで十分なのになー、と思いながらもどうやって話を逸らすか考えを巡らせる。
どうせならお尻触らせて欲しいんだけど、そんなこと言ったら怒られるよね。
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