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新しいカードキーの発行を申請して届くまでは、かなりの時間がかかる。
食堂はカードキーじゃなくてもお金で払えるけど部屋はカードキーでしか開かないのにどうするのかな、なんて考えていれば風折がポケットから銀色のカードキーを取り出した。

生徒会と風紀委員と一般生徒の持つカードキーは色が違う。それぞれ金、銀、黒のカードキーだ。
勿論俺のカードキーも黒なんだけどね。



「正確に言うと、緊急時に一時的に貸す事ができるカードキーだ。予めパソコンで設定しておいた部屋の鍵しか開かない」



「カードキーが見つからない事を想定して、さっき設定しておいた」何でもないようにそう言った風折。
まあ確かに、風紀委員のカードキーだと屋上とかも開けられちゃうからね。
そんな便利な機能もあったんだなあ、と関心して銀のカードキーを見つめる。



「俺にもカードキー頂戴。出来れば風折のスペアで」


「誰がお前にやるか」



「勝手に部屋に入られたら叶わない」と眉間にシワを寄せる風折は本気で嫌そうだ。
「じゃあ交換する?」とふざけて俺のカードキーのスペアを何枚か取り出せば「いらない」と切り捨てられた。
そこまで嫌がらなくてもいいのになぁ。



「そんな、わざわざ申し訳ないです……!」



俺なら喜んで貰うのに、村井田君は違ったらしい。
「僕は大丈夫ですから」と慌てている。
何が大丈夫なのかサッパリわからない。
俺だったら黒より銀のカードキーの方が良いし、喜んで貰っちゃうのに。



「気にしなくていい。カードキーが発行されるまでだ」


「でも……」


「そうそう、気にしなくていいんだよ。銀のカードキーなんて滅多に持てないんだからラッキーだよ」



渋る村井田君の頭をヨシヨシと撫でてやればボンッと一気に顔が赤くなった。
面白いくらい反応が素直な村井田君を、懲りずにわしゃわしゃと撫で回していると「お前はもう少し気にしたらどうだ」と風折に言われる。酷い。
同時に手を掴まれ頭を撫でるのを止めさせられた。






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あきゅろす。
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