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そして俺は、カードキーが無かった事を風折に報告しなければいけないため風紀委員室に来ていた。
別に携帯電話で連絡しても良かったけど、どうせ美化衛生委員室に戻るなら途中寄り道しても一緒だろう。
ノックをして「失礼します」と扉を開ければ、風折の他にも何人かの生徒がいるのがわかった。



「ああ、立花か。どうだった?」


「探したけど見つからなかったよ。ごめんね」



風折の問いに俺は首を振ってみせる。
風折は「そうか」と立ち上がりソファに座る一人の生徒に一言声をかける。
その生徒は勢いよく立ち上がると俺を振り返った。



「あ、もしかしてこの子が例の村田君?」


「村井田だ」


「……ごめん」



風折の鋭い視線から俺は直ぐ様顔をそらす。今回ばかりは俺が悪かった。
物凄い形相で俺を睨む風折に「ぼ、僕は大丈夫ですから!」とその男の子――村井田君は慌てる。

平凡な顔立ちに平均程の身長。
所謂何処にでもいそうな生徒だったけれど、黒髪はサラサラで触り心地が良さそうだった。

うん、意外と可愛いかも。



「俺は立花圭。宜しくね」


「よ、よよよ宜しくお願いしますっ!」



緊張しているのか赤くなってどもる村井田君に「可愛いね」と微笑みかければ、風折に「後輩をたぶらかすな」と怒られた。
たぶらかしてるわけじゃないんだけどな。



「カードキーの機能は止めておく。新しいカードキーの申請をするが、一応紛失届を出しておいてくれ」



テキパキと指示をだす風折がデスクからプリントを取り出す。
『紛失届』と書かれたそれを村井田君に手渡した。
「わかりました」と頷きプリントを眺める村井田君の後ろから覗き込む。
初めて見たけど、どうやら紛失届は担任に提出するものらしい。
概要にそう書いてある。



「新しいカードキーが届くまではこれを使ってくれ」


「あれ、それってもしかして風紀委員のカードキー?」






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