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「でも、俺は他の子よりも唯とする方が好きだよ」


「そういう嘘いらない!オレは圭くんだいすきなのにいっ」



とりあえず宥めよう、と適当に言ってみるが余計に興奮させてしまった。
俺の為に必死になる唯は凄く可愛いけど、やっぱり少し面倒くさい。

俺は煩い口を塞ごうと、唯の唇に自分のソレを押し当てた。
触れるだけのキスに唯は目を見開く。
唇を離せばすぐに赤くなった。



「可愛いね、唯」


「……もお、ズルいよ圭くん」



やっと落ち着いた唯は、顔を赤くしながら俺にギュッと抱き着く。
あまりの可愛さに頭をよしよしと撫でてやれば、すりすりと擦り寄ってきた。
ほんとネコみたい。

「圭くんだいすき」なんて言葉を囁かれて俺は何と言えばいいのかわからず口ごもる。
ここで「俺も好きだよ」と言ったら色々面倒な事になりそうなので止めておいた。
まあ唯は可愛いから好きだけどね。



「新歓が終わったら、唯の部屋行くからね」



甘い言葉の変わりに、俺は再び唯に触れるだけのキスをする。
「続きはあとでね」と微笑めば唯は頬を赤らめながらも不満そうに口を尖らせた。



「そんなにお預けするのー?」


「唯は生徒会の仕事忙しいでしょ。ほら、そろそろ生徒会室行かないと昴が煩いんじゃない?」



随分と可愛い事を言ってくれる唯に頬が緩む。
こんなに機嫌が戻るなら、もっと早くキスしとけばよかったなーなんて思いながら唯の体を支えながら椅子から立ち上がった。

「あ、ヤバい!会長怒ると面倒なんだよねえ」焦った様子で棚の資料を掴んだ唯は、別れの挨拶もソコソコに資料室から出ていってしまった。

……折角待ってたのに。
先に行ってしまった唯に何とも言えない気持ちになった俺は資料室で1人乾いた笑みを浮かべるのだった。






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あきゅろす。
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