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20


唯の体を離したからか、それとも部屋に入れないと言ったからか、はたまたその両方なのか。
唯はムスッと唇を突き出して不平を言う。
俺が弁解という名の言い訳を試みるが、「じゃあどういうこと?」と言い返された。怖いなあ、もう。



「俺の部屋でもいいけど、3Pになるかもしれないよ?」


「なにそれ、オレ圭くんが同棲してるなんて知らなかったんだけど!」


「違うよ。俺の部屋の合鍵……というか合カードキー持ってる人が沢山いるから、誰か来るかわかんないんだよね」



だから俺の部屋は駄目、と唯に言い聞かせれば納得いかないように俺を睨んでいる。
合カードキーは、本来は予備用のカードキーだ。
食堂でご飯を食べるのには使用できないものの、部屋の鍵を開けることはできる。
ちなみに俺の言葉の半分は嘘で(だって部屋には出来る限り入れたくないし)、カードキーを持っている人は数える程度しかいない。

例えばそう、昴とか亮平とか。
クレクレ煩いから仕方なくあげたんだよね。



「オレ、圭くんのカードキー貰ってない!」


「え、そこ?」



何でオレにはくれないの、なんて騒ぐ唯に俺はつい頓狂な声をあげた。
そう言えば確かに唯にはあげてない。

めんどくさいなあ、と思った俺はポケットに予備のカードキーが何枚か入っているにも関わらず「後であげるね」なんて曖昧に笑ってみせた。

……というか、そろそろ膝から降りてもらわないとツラいんだけど。



「ていうか、酷い!オレがいるのに色んな人とヤるなんて!」


「それは唯も一緒でしょ?」


「オレはいつだって圭くん一筋だよ?圭くんの性欲なんてオレが全部処理してあげるのにっ」



段々と話がこじれてきた。
唯が自分の事をよく思っているのはわかっているけど、正直俺は恋とか愛とか未だよくわからない。
気持ちをあげられないからとりあえず体だけ繋げていたのに、まさかそれが仇になるとは思わなかった。

唯っていつかドラマで観た浮気をした彼氏を咎める彼女みたいだなあ、なんて案外冷静な頭で考える。






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