19
「唯」
「なにー?」
「立食パーティーって、どんな料理が出るの?やっぱりフランス料理あたり?」
資料探しなら会話をしながらでも出来るだろうと、俺は棚の前で沢山の資料を引っ張り出す唯に声をかけた。
新入生歓迎会は勿論新入生である1年生がメインだけど2、3年も参加することができる。
所謂自由参加だ。
去年の歓迎会はくだらなすぎて出なかったけど、今回のは出席してもいいかもしれない。
「確か和食とか中華料理も出すしスイーツ、フルーツとかも出すって会長言ってたよお?」
「へえ、随分と太っ腹だね」
女の子だったら甘いものには需要がありそうだけど男子校はどうなんだろう、確かに一部には喜ばれそうだけど。
なんて思いながら適当に相槌をうてば、亮平の事を思い出した。
亮平は趣味が意外と乙女で、甘いものもそうだしピンクとかそういう物も好きだった気がする。
「圭くんは参加するの?」
「俺?今回は参加するよ」
「ほんと?じゃあ圭くんに会えるんだ、嬉しいなぁ」
嬉しそうに笑う唯の視線が絡まる。
次第にその視線が熱っぽくなってきて、ああヤバいな、なんて人事に思う。
唯は集めた資料を棚に置くと、俺に近づいてくる。
パイプイスに座る俺の足を跨ぐようにして合い向かいに膝に座ってきた。
首に手を回され顔の距離が近付き、唯の息遣いと熱い視線が間近で感じられる。
「今日、圭くんの部屋行っちゃダメ?最近圭くん相手してくんないからオレ寂しいんだけどー」
ギュッと体を密着させて笑みを浮かべる唯に、俺は苦笑い。
なんというか何時でも盛ってるような相手に寂しいとか言われるのは違和感。
しょっちゅう親衛隊の相手をしてるくせによくヤる気になるな、と思いながら俺は唯の肩を掴み体を離した。
「俺の部屋は駄目だよ」
「えー、だって圭くんいつもそんなこと言って部屋に入れてくれないじゃーん。そんなに俺のこと嫌い?」
「そういうんじゃなくて……」
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