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いつお尻に触ろうかと思案しながらも世話話をしていた俺達。不意に爽太が「あ、そうだ」と声をあげる。



「あの、先輩は転入生が来たって知ってましたか?」


「転入生?知らなかったな。こんな時期に珍しいね」



この学園は初等部からのエスカレーター式の学校で、おまけに全寮制。
勉学のレベルは無駄に高いわ友達は出来上がってるわで、転入生なんて10年に1度あるかないかだ。
現に俺が高3になるまで一度も転入生が来たことはなかった。

そんなんで当たり障りの無い受け答えをすれば、爽太が顔をズイッと近付けてきた。
キスでもしてくるのかと一瞬馬鹿な事を思うが、やはり違ったらしい。俺の顔面スレスレで動きは止まった。



「立花先輩、絶対転入生に近付いちゃ駄目ですからね」


「え……どうして?」



転入生が男前な長身だったら近付かないなんて約束は無理な話だ、とりあえずは言葉の理由を聞こうと首を傾げる。
珍しく不機嫌そうな顔をした爽太は、溜め息混じりに「あの転入生、うざいんです」と呟いた。全く意味がわからない。

そもそも爽太が愚痴を言うなんて滅多にあることじゃない、心配になった俺は最後まで爽太の愚痴を聞こうと決心した。



「何かあったの?」


「たぶん、初めて接した性格だから余計に嫌な気分になったんだと思うんですけど……」



モゴモゴと語尾を濁らせた爽太に「うん」と相槌をうつ。



「ほんと馴れ馴れしいし煩いし……とにかく、先輩は近付かないでくださいね!」



もっと掘り下がって愚痴を聞こうと思ったのに、爽太は相当俺と転入生を近付けたくないらしい。
必死な表情に思わず笑みが溢れた。
すると「何笑ってるんですか、俺は真剣なのに」とムスッとした爽太に怒られた。

うん、可愛い。



「響が授業来るのも嬉しいです。けど、きっと転入生が響に付きまとうんだろうなって考えると……」


「そんなに爽太が嫌がるなんて、その転入生ちょっと気になるね」






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