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「そう言えばそんなこともあったね」と顔を歪めれば、視界の端の響が首を傾げるのがわかった。
俺は響に説明する為に口を開く。



「美化衛生委員は、成績優秀で素行良好の生徒しか入れないんだ。生徒会全員と職員数名の承認を得、理事長に印を貰えてからやっと美化衛生に入れるんだよ」


「……素行、良好……」



丁寧に説明すれば、響は眉間にシワを寄せて呟いた。
確かに成績面では優秀だけど、いくら次席でも授業に出てなければ素行は良くないはず。見た目不良の響なら尚更だ。

美化衛生委員になればこっちのものだから好きなだけ授業を休めるんだけどね。勿論首席と次席のみだけど。



「やっぱり授業に出なきゃ無理みたいだね。ごめんね響、美化衛生に入れだなんて言って」



とにかく授業を受けない響に無理を言ってまで美化衛生委員に入れるわけにもいかない、と俺は苦笑を浮かべる。
響は俺の言葉に少し俯いてから、何か決心したように顔をあげた。
目があう。



「……俺、授業出ます。美化衛生委員になって圭さんと、爽太といたい」


「それは、大歓迎だけど……」



一緒にいたいなんて随分積極的だな、なんておめでたい余計な考えが頭によぎる。
それに脳内を支配され「響は大丈夫なの?」という言葉を言う前に、「爽太」と響の言葉に隣に座っている爽太が首を傾げた。



「その、明日から一緒に教室行ってくんねーかな……」


「何だよ今更、いいに決まってるだろ?」



控え目に言う響を、爽太がさも当然のように爽やかな笑顔を浮かべる。
すると響は嬉しそうに笑い、可愛い2人に挟まれて気分が上々な俺は2人の頭をよしよしと撫でた。

例によって初な2人は顔を赤くする……と思ったが、顔を赤らめたのは響だけだった。
おかしいなと思いつつチラリと爽太を見れば、何か考え込んで深刻な顔をしている。
不思議に思い「爽太?」と声をかければ、ハッとしたように「何でもないです!」と首を振った。






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あきゅろす。
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