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相変わらず反応が可愛い響に笑みを浮かべながら「隣、いいかな」と問えば「全然大丈夫です余裕です」と何かよくわからない応えが帰ってきた。
どう余裕なのかはわからなかったが、とりあえず隣に座っても大丈夫らしいのでお構い無しに座った。



「委員会は……どうしたんすか?」


「これからだよ。爽太に鍵を渡しておいたんだけど、まだ教室から戻ってきてないみたいなんだよね」



響は見た目は強面だけど、中身は全く正反対だったりする。
話によると元いじめられっ子だったようであまり人と関わるのも好きじゃない、らしい。
俺にはなついてくれてるから、そこがまた嬉しいんだけどね。



「響は爽太と同じクラスだったよね?爽太どうしてるかわかる?」


「あ、いや……俺授業出てないんで……すみません」



何気なしに聞けば、そう言えば人と関わるのを避ける為に授業に出ていないことに気付いた。
申し訳無さそうに俯く響にキュンとしながらも、俺はすぐさま話題をそらす。



「そっか、そう言えばそうだったね。確か響って次席なんだっけ?」



この学園には特権が存在していて、生徒会と風紀委員それから各学年の首席と次席は授業出席が自由。
確か響は、授業に出たくないが為に次席という成績を残していたはずだった。
ちなみに俺も次席だから委員会が忙しい時は授業に出ないんだけどね。

俺の問いに「一応」と小さく頷いた響に視線をそらされる。
俺との会話に緊張しているのか、手はひっきりなしに動いていた。
……一緒にいるのに馴れてくれてると思ってたから、ちょっとショックかも。



「成績優秀なんだね。美化衛生委員に是非入って貰いたいよ」



冗談混じりに微笑みながらそう言えば、「え、」と響の息が詰まる。
珍しく何かキラキラした目をした響は俺を見つめている。

もしかして美化衛生委員に入りたいのかもしれない、俺は反応を示してくれた響に声をかけようと口を開けば、後ろから足音が聴こえた。



「すみません立花先輩!ちょっと厄介な人に絡まれちゃって……あれ、響」






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あきゅろす。
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