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05


昴と代わるようにして立ち上がったのは生徒会会計である五十嵐唯(イガラシユイ)。
言葉の割にヘラヘラと笑っている唯は生徒会で1、2を争う下半身の緩さだ──争っている相手は昴なんだけどね。

唯は「ごほん!」とわざとらしい作った咳払いをすると笑いながら口を開いた。



「えー、今回の新歓は立食パーチーをやりたいと思いまーす」



プリントを見れば、確かに立食パーティーと書かれている。
去年とは随分違う内容に『ダルマさんが転んだじゃないのか』と内心残念に思いつつ視線を唯に向ければ、バッチリと目があった。
ばちこん、と音が聴こえるようなウィンクをされて俺困惑。いや、俺にどうしろと。

とりあえずどうしていいのかわからず、適当に微笑みを返した。
すると唯は顔をほんのり赤く染める。どうやら、俺は余計なことをしてしまったようだ。
動く気配もなく俺を見つめる唯にどうしようかと悩んでいると「五十嵐」と隣の風折が唯に声をかけた。ハッとした様子で「何?」と我に返る唯に俺は安堵する。



「立食パーティーという事だが、食事代と人件費はどこから出すんだ?プリントに書かれていない」


「どっちも俺が出す。つうか俺がどっちも提供してやるからお前が心配する事はねーよ」



風折の言葉に、唯ではなく昴が口を開く。イライラしているのか喧嘩腰の口調と態度にさすがのポーカーフェイス風折も眉を潜めた。
だが場所が場所だからか、それを咎めることなく「そうか」と風折は視線を昴から外す。

風折も妙に昴に敵対視されちゃって、大変だよね。
そう言えば生徒会長と風紀委員長は仲が悪いとか爽太が言ってたっけ、そんなことを思いながらボーッと昴を見ると、目があった。
さっきの唯のせいでどうしたらいいのかわからず気まずかったが、やはり笑うしかないと微笑を浮かべる。

が、すぐにそらされてしまった。酷い。



「詳しい日時は書いてある通りでーす。場所は第1ホールを使うよ〜。
じゃあ次説明は忍っち宜しく!」


「……僕ですか?」






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あきゅろす。
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