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02


更に階段を登って通路を歩けば高3の教室だ。
少し高2の教室と離れているのは、一応受験生の為だろう。実質上は持ち上がりで大学まで行く人が殆どだけど。

高3Aの教室を確認して扉を開ければ、久々に見たクラスメートの顔がそこにはある。



「立花様!教室にくるなんて珍しい……!」


「素敵っ!今日授業来てよかったあ!」



そして、すぐに騒がしくなった。
俺は近寄ってくる生徒にヒラヒラと手を振り「また後でね」なんて腕を絡めてくる生徒をやんわりとかわしながら、何とか自分の席であろう場所に到着した。

何故俺の席がわかったかと言うと、隣の席が風折公也(カザオリコウヤ)だったからだ。
委員長じゃなかった時は、よく風折に絡んでた気がする。


風折は俺が教室に来たせいで騒がしくなった生徒に苛ついているのか眉間にシワを寄せながらも、静かに本を読んでいる。
俺に気付いているのかもわからない集中ぶりに、俺は声をかけようか迷いながら席についた。


「二人とも久しぶりに見た!立花様と風折様のツーショット素敵!」なんて言葉から想像するに、きっと風折も久々に教室に来たんだろう──まあ、風紀委員の委員長だから仕方ないか。



「風折、おはよ」



ヒラヒラと本の前に手を出せば、風折はハッとした様子で俺に視線を向けてきた。
眼鏡の奥の目は開かれていて「驚かせちゃった?」と、ついおどけてみせる。

ポーカーフェイスで有名な風折は直ぐ様表情を戻すと「おはよう」と本に視線を戻す。



「珍しいな、教室に来るなんて」


「今日は会議だからね」



本を読みながら会話をするのが嫌で、言いつつ風折の読む本を奪えば不機嫌そうな顔をされた。
風折は無理矢理俺の手から本を掴むとそれをカバンに突っ込む。

何だかんだ俺の気持ちをわかっていてくれたらしい、嬉しいな。






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