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01


いつもと変わらない朝を迎えた俺、立花圭は高3Aの教室に向かっていた。

次席の為授業には出なくても何ら問題は無かったけど、今日は放課後に新入生歓迎会の為の会議が控えている為3時間授業。
どうせ会議に行くなら久しぶりに授業に出るのも良いかもしれない、と安易な考えで授業に出ることにした。

ちなみに俺は美化衛生委員の委員長。
何故か意外と人気がある美化衛生委員の仕事は、さすがに風紀委員までとはいかないけどそれなりに大変だったりする。



「あ、立花先輩。おはようございます!」


「おはよう、爽太」



教室に向かうための階段に差し掛かった所で、後ろから聞き覚えのある声がして振り返る。
ニコニコと爽やかな笑顔を浮かべる篠原爽太(シノハラソウタ)が、駆け足で俺に近付いてきた。
立ち止まって爽太が来るのを待てば「ありがとうございます」と言われた。



「そう言えば今日、会議でしたっけ。立花先輩も出るんですか?」


「うん。正直、新歓の会議に美化衛生委員が出る意味がわからないけどね」



爽太は1つ下の後輩で高2A組。元バスケ部エースなのが頷ける運動部らしい体型だけど、今は美化衛生委員の副委員長だったりする。
後輩だけど仕事は良くしてくれる爽太は確実に次の委員長だな、そんなことを考えながら苦笑を浮かべれば「確かにそうですね」なんて爽太も笑った。



「終わったら、委員会室に来ますよね?」



来てください、なんてニュアンスにも捉えられる爽太の言葉に俺は微笑みながら爽太の頭を撫でた。
一気に顔を赤くする爽太が可愛くて仕方がない。



「勿論行くよ。爽太は?」


「行きます!」


「じゃあ委員会室の鍵、渡しとくね」



ポケットから取り出したウサギのキーホルダー付きの鍵を渡せば、「ありがとうございます」と未だ赤い頬のまま頭を下げてくる。
いちいちお礼を言うなんて運動部みたいなノリだな、と思いながら階段を昇ればもう高2の教室に着いていた。
「また放課後ね」と言いつつ手を振れば、爽太は残念そうな寂しそうな顔をしながらも手を振り返してくれた。

うん、犬みたいで可愛い。






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あきゅろす。
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