2 何を読もうかと沢山の漫画に目移りさせながら本棚を行ったり来たりする俺。 不意に何かを踏んで床を見れば、奇抜な服が落ちていた。 脱いだ服をそのままにしているのかと内心呆れながらも「おい、服落ちてる」とそれを拾う。 畳んで端に置いておこうとしたが、その服を見て俺は固まった。 「あー、悪い!ぶっかけ用の衣装出しっぱなしにしてたわ」 黒いプリーツの入ったスカート。緑を基調にしているらしいその服は明らかに女物で、しかもアニメやら何かに出てきそうな変わった衣装だった。 それだけならともかく、その服には何かがこびりついている。緑のネクタイはカピカピになっていた。 田中の言葉をいち早く理解した俺は、その服を田中の背中に投げつけた。 「気持ち悪いんだよ!!」 見事に服を顔面で受け取った田中は「うぇ」と妙な声を出す。 顔面に激突してから床に落ちたその服を拾うと、今にも泣き出しそうなわざとらしい表情を作る。正直ウザい。 「ひどい!初音ミ●ちゃんの衣装をそんな雑に扱うなんて……!」 「ぶっかけてるお前に言われたくねーよ」 初音ミ●だか何だか知らないし、自慰をするのも勝手だがとりあえず床に放置しないで欲しかった。嫌がらせとしか思えない。 服をギュッと抱き締めて演技がかった口調をする田中を睨み付ける。 それから何故か「大丈夫、俺は衣装じゃなくて七瀬×片桐もオカズにしてるから」とか聞きたくないカミングアウトをしやがった田中に、俺は本棚から取り出した分厚い漫画を投げ付けて大人しくさせてから再び読む漫画を探し始めた。 正直帰ろうか迷ったけど、折角漫画喫茶(仮)に来たからには何かしら漫画を読みたい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |